「助けを求めることができない」北海道の地域課題と住民の孤立
北海道は日本最大の面積を持つ道内に、約520万人の人口が分散しています。札幌市や旭川市などの都市圏を除けば、広大な農村地帯や漁村集落が点在し、医療機関や福祉サービスへのアクセスが物理的に困難な地域が数多く存在します。私が日々の診療や訪問診療で感じるのは、「遠いから行けない」という物理的な壁だけでなく、「誰に相談すればよいかわからない」「迷惑をかけたくない」という心理的な壁が、人々を孤立させているという現実です。
厚生労働省の調査によれば、2023年時点で日本国内の一人暮らし高齢者は約700万世帯に達し、そのうち北海道は全国平均を上回るペースで増加傾向にあります。さらに、ヤングケアラー(家族の介護を担う18歳未満の子ども)や、育児と介護を同時に担う「ダブルケア」世帯など、支援の必要性が複合化している家庭も増加しています。こうした複雑な課題は、従来の「行政が提供する福祉サービス」だけでは対応しきれない現実があります。
そこで近年、国は「地域共生社会」の実現を政策の柱に掲げ、住民一人ひとりが支え手にも受け手にもなる、互いに助け合う地域の仕組みづくりを推進しています。しかし「住民同士の支え合い」を美しい言葉で掲げるだけでは、現場は動きません。デジタル技術という「道具」を適切に組み合わせることで、初めてその理念が具体的な実践につながると私は考えています。
地域共生社会とは何か|制度的背景と北海道が直面する現実
地域共生社会の政策的位置づけ
「地域共生社会」とは、2016年に厚生労働省が提唱した概念で、「制度・分野ごとの縦割り」や「支え手・受け手」という固定した関係を超えて、地域住民や多様な主体が参画し、人と人、人と社会が互いに関わり合う社会を目指すものです。2020年には社会福祉法が改正され、「重層的支援体制整備事業」が創設されました。これにより市町村は、介護・障害・子ども・生活困窮といった分野を横断した相談支援体制を構築することが求められています。
北海道においては、179の市町村のうち過半数が「小規模自治体」に分類されており、専門の福祉職員が慢性的に不足しています。ある過疎地域では、社会福祉士1名が1,000人以上の住民を担当しているケースもあり、個別の丁寧な支援が難しい状況にあります。制度としての地域共生社会の理念は正しくとも、それを動かす「人」と「仕組み」が追いついていないのが、北海道が抱えるリアルな課題です。
公助・共助・自助のバランスを再設計する必要性
日本の社会保障は長らく「公助」を中心に設計されてきましたが、人口減少・財政逼迫が進む中で、行政だけで全てを支えることは現実的ではなくなっています。厚生労働省の「地域力強化検討会」最終とりまとめ(2017年)でも、「公助を支える共助・自助の再強化」が明確に示されました。自治会・民生委員・ボランティア団体などの「共助」の力をいかに引き出し、持続可能な形で育てていくか。その答えの一つが、デジタル技術との組み合わせにあると私は考えています。
「地域のつながり」が健康アウトカムに与える影響
社会的孤立が健康に与える影響については、国際的な研究でも多くのエビデンスが蓄積されています。英医学誌『BMJ』に掲載された系統的レビュー(Holt-Lunstad ら、2015年)では、社会的つながりの貧しさは死亡リスクを約29%高める可能性があるとされています。また、日本国内の研究でも、地域のつながりが強い地域ほど要介護認定率が低いという報告があります(近藤克則ら)。医療の観点からも、「住民同士の支え合い」を育てることは、単なる福祉の話ではなく、予防医療・地域医療の重要な柱なのです。
デジタルが変える「支え合い」の形|オンラインコミュニティの可能性
ICTを活用した地域コミュニティの再構築
かつての地域共同体は、農作業や漁業、祭り、冠婚葬祭といった「共通の生活基盤」の上に自然と形成されていました。しかし都市化・核家族化・産業構造の変化により、そうした有機的なつながりは急速に失われています。デジタルツールは、失われたつながりを完全に代替することはできませんが、「ゆるやかにつながり続ける」ためのインフラとして機能する可能性を持っています。
具体的には、LINEグループや地域SNSを活用した「安否確認コミュニティ」、オンライン会議ツール(ZoomやMicrosoft Teams)を使った「遠隔サロン」、行政や社会福祉協議会が運営するデジタル掲示板など、さまざまな形が実践されています。スマートフォンの操作に不安がある高齢者向けには、簡単なタブレット端末と大きな文字で操作できるシンプルなアプリが普及しつつあり、デジタルデバイド(情報格差)の解消も少しずつ進んでいます。
北海道内での先進事例|オンラインで広がる住民活動
北海道内でも、デジタルを活用した住民支え合いの取り組みが各地で始まっています。たとえば、ある道東の町では、地域の民生委員がスマートフォンを活用して一人暮らしの高齢者と日々メッセージを交換し、返信がない場合にはすぐに訪問確認を行う「デジタル見守りネットワーク」を構築しました。また、ある農村地域では、農家が副業として隣人の買い物代行を行い、その依頼・マッチングを地域SNSで行う仕組みが自然発生的に生まれています。
これらの取り組みに共通しているのは、「デジタルが目的ではなく、あくまで手段である」という視点です。ツールの使い方よりも、「誰かのために何かしたい」という住民の主体性を引き出すことが先にあり、それをデジタルが「効率よく・広く・継続的に」支えるという構造になっています。
医療・介護専門職とのデジタル連携
住民同士の支え合いが機能するためには、医療・介護の専門職との連携も不可欠です。たとえば、訪問看護師が患者宅を訪問した際に気になる変化を発見した場合、その情報をICT上の地域連携システムに記録し、かかりつけ医や介護支援専門員(ケアマネジャー)がリアルタイムで共有できる仕組みが普及しつつあります。当法人でも、訪問診療や在宅医療の場面で、こうした情報共有ツールの活用を積極的に進めています。
オンライン診療が地域共生社会を支える新たな役割
「かかりつけ医」をオンラインで代替・補完する
地域共生社会における医療の役割は、病気を治すだけにとどまりません。住民が抱える生活上の悩みや不安に早期に気づき、必要な支援につなげる「ゲートキーパー」としての機能も、医療機関には期待されています。しかし、医師の偏在問題が深刻な北海道では、過疎地域でかかりつけ医を持てない住民が少なくありません。
オンライン診療はこの課題に対する有力な解決策の一つです。患者が自宅にいながらスマートフォンやパソコンを通じて医師と対話できるオンライン診療は、2018年の診療報酬改定で一定条件のもと保険適用が認められ、新型コロナウイルス感染症の流行を経て急速に普及しました。当法人が運営する「北海道オンラインクリニック」でも、精神科領域を中心に、遠方にお住まいの患者さんや通院が難しい方へのオンライン診療を行っています。
「つなぎ役」としてのオンライン診療
オンライン診療が地域共生の文脈で果たせる役割は、単に「外来に来られない人が診てもらえる」というだけではありません。診察を通じて医師が把握した「生活上の困りごと」を、地域の福祉サービスや住民ボランティアへスムーズにつなぐ「つなぎ役」としての機能も重要です。医師がICT上の地域ケア会議に参加し、ケアマネジャー・社会福祉士・民生委員と情報を共有する形で、複合的な支援を実現している地域も出てきています。
厚生労働省の「かかりつけ医機能報告制度」(2024年施行)では、医師が患者の生活背景を把握し、必要な地域支援につなぐ機能が明示的に求められるようになりました。オンライン診療はその機能を、距離を超えて発揮するための有力なツールとなり得ます。
精神科・メンタルヘルス支援とオンラインの親和性
地域共生社会の実現においては、精神的な健康の維持も重要な課題です。孤立・孤独は精神的な健康を大きく損なうリスクがあり、うつ病や不安障害の早期発見・早期支援が求められます。精神科の受診には、対面でのスティグマ(偏見)を恐れる患者が多い一方で、オンラインであれば自宅から気軽に相談できるという利点があります。当法人グループの「北海道オンラインクリニック」および「Medi Face」では、こうした精神的サポートをデジタルで提供しています。
介護DXと福祉DX|現場を変えるデジタルの力
介護記録のデジタル化と情報共有の効率化
日本の介護現場では、記録業務の多さが介護職員の大きな負担となっています。厚生労働省の調査によれば、介護職員の業務時間のうち記録・事務作業が占める割合は20〜30%に上ることもあり、本来利用者との関わりに使うべき時間が削られています。介護DXの核心は、こうした記録業務をデジタル化・自動化することで介護職員の「ゆとり」を生み出し、人と人との質の高いケアに集中できる環境を整えることにあります。
音声入力による介護記録システムや、センサーと連携した自動記録ツールは、国内でも複数のベンダーから提供されており、大手介護施設を中心に導入が進んでいます。また、2024年度の介護報酬改定では、「生産性向上」の観点からICT活用を行う事業所への加算が拡充されており、中小規模の事業所でも導入のハードルが下がっています。
AIを活用したリスク予測と予防的介入
AIの活用は、介護・福祉の現場にも広がりつつあります。たとえば、訪問介護記録から抽出したデータをAIが分析し、転倒リスクや認知機能低下の兆候を早期に検出するシステムが開発・実用化されています。こうしたシステムが普及すれば、問題が重篤化する前に専門職が介入できるようになり、入院・施設入所を未然に防ぐ可能性があります。医療経済的にも、予防的介入のコスト効果は高いと考えられており、今後の政策的推進が期待されています。
当法人でも、訪問診療の際に得られるデータを系統的に記録・分析することで、患者さんの状態変化を早期に把握する取り組みを進めています。「変化に気づく」ことは、医療の質を高めるだけでなく、住民や家族の安心にも直結します。
福祉DXと行政手続きのオンライン化
介護保険の申請、障害福祉サービスの利用手続き、生活保護の相談など、福祉に関わる行政手続きは複雑で、特に高齢者や障害のある方には大きな負担となっています。福祉DXの推進によって、こうした手続きをオンラインで完結できる環境が整いつつあります。マイナンバーカードを活用した電子申請や、自治体の窓口でのビデオ通話を利用した非対面相談など、さまざまな試みが各地で行われています。当法人グループの「行政書士きくち事務所」でも、医療・介護に関わる行政手続きのサポートをデジタルを活用しながら行っています。
住民参加型のデジタルプラットフォーム|実践から見えてきた課題と工夫
「使いやすさ」と「安全性」の両立
デジタルを活用した住民の支え合いを広げていくうえで、最も大きな課題の一つが「デジタルデバイド」の問題です。スマートフォンやタブレットの操作が得意でない高齢者や、経済的にデジタル端末を持てない方々が、デジタルプラットフォームから取り残されてしまうリスクがあります。これでは「デジタルで地域共生」といいながら、実際には「デジタルに縁がある人だけの共生」になってしまいます。
この問題への対応として、いくつかの自治体や団体では、高齢者向けのデジタル講習会(「スマホ教室」など)を定期的に開催する取り組みや、若い世代が高齢者のデジタル操作を手助けする「世代間のデジタル橋渡し」活動が行われています。また、自治体が低所得者向けにタブレット端末を無償貸し出しするモデルも生まれています。デジタル活用の前提として、「使える環境を整える」ための包括的な支援が不可欠です。
個人情報保護とプライバシーへの配慮
住民同士の支え合いの中で個人情報を扱う場合、プライバシーへの配慮は極めて重要です。「あの家の人が介護を受けているらしい」「あの人は精神科に通っているらしい」といった情報が、本人の意思に反して広まることは、重大な人権侵害につながりかねません。デジタルプラットフォームを活用する際には、アクセス管理の徹底・情報の匿名化・利用規約の整備などが不可欠であり、運営者側には相応のリテラシーと責任感が求められます。
医療機関が関与する情報共有については、個人情報保護法や医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(厚生労働省)に則った厳格な管理が必要です。当法人では、患者情報のデジタル管理において、これらのガイドラインを遵守した運用を徹底しています。
継続的な仕組みを作るための「担い手」育成
デジタルプラットフォームは、立ち上げただけでは機能しません。継続的に運営し、住民が「使い続けたい」と思える仕組みを維持するためには、地域の中に「担い手」を育てることが重要です。地域おこし協力隊や社会福祉協議会のコミュニティワーカー、あるいは地域に根ざした医療・介護従事者が、デジタルと住民活動の橋渡し役となるケースが成功している事例では多く見られます。「デジタルを使いこなす人」ではなく、「地域のつながりを大切にする人がデジタルも使えるようにする」という順番が重要です。
多職種連携とコミュニティデザイン|医療が果たすべき役割
医療機関が地域共生の「核」になれる理由
地域共生社会において、医療機関は単なる「治療の場」を超えた役割を担えると私は考えています。なぜなら、医療機関は地域住民が最も信頼を寄せる場の一つであり、様々な背景を持つ人々が集まり、また繰り返し来院するという特性があるからです。医療機関を「地域情報のハブ」として機能させることで、「困っている人」と「助けたい人」、あるいは「必要なサービス」をつなぐ橋渡し機能を果たすことができます。
具体的には、クリニックの待合室を地域の情報共有スペースとして開放する取り組み、医師が地域ケア会議に積極的に参加する姿勢、訪問診療の場で把握した生活課題を地域の支援者につなぐ連携体制の整備などが考えられます。当法人では、「病を治す」から「人生を支え抜く」という理念のもと、こうした地域の核としての役割を意識した活動を続けています。
多職種連携のデジタル化|地域ケア会議のオンライン化
地域ケア会議は、医師・看護師・ケアマネジャー・社会福祉士・行政担当者などが集まり、個別ケースを通じて地域全体の課題解決を図る重要な場です。しかし、多忙な専門職が一堂に会するための日程調整は難しく、特に医師の参加率の低さが課題とされてきました。オンラインでの開催が可能になったことで、移動時間を省いた柔軟な参加が実現しやすくなっています。
2021年以降、厚生労働省もオンラインによる地域ケア会議の活用を認め、その普及を後押ししています。当法人では、訪問診療担当医師がオンラインで地域ケア会議に参加し、患者の医療的な状況を共有しながら、ケア計画の改善に貢献する取り組みを積極的に行っています。
産業保健と地域保健の連携|働く世代を地域共生の担い手に
地域共生社会の担い手として、高齢者や主婦層だけでなく、「働く現役世代」の力を活かすことも重要です。企業の社会貢献活動(CSR)として、従業員が地域ボランティアに参加する仕組みや、テレワークを活用して在宅勤務時間の一部を地域活動に充てる試みが注目されています。産業医として企業と関わる立場からも、「従業員の地域参加が職場のウェルビーイングにも寄与する」という視点で、企業への働きかけを行っています。当法人グループの「Z産業医事務所」は、こうした産業保健と地域保健の接点においても積極的な役割を果たしています。
医療法人鳳應会が描く「デジタル×地域共生」の未来と、皆さんへのメッセージ
私たちが実践してきたこと、これから目指すこと
医療法人鳳應会は、札幌・小樽を拠点に、訪問診療・在宅医療・精神科外来・オンライン診療・介護・産業保健など、多様な領域にわたる地域医療の実践を続けてきました。その根底にある理念は、「病を治す」から「人生を支え抜く」へという言葉に集約されます。これは単に診断と治療を行うというだけでなく、患者さんの生活全体・人生全体に寄り添い、地域の中でその人らしく生きることを支えるという覚悟の表明です。
デジタル技術は、その理念を実現するための強力な道具です。オンライン診療によって距離の壁を越え、ICTによる多職種連携で情報の壁を越え、デジタルコミュニティによって孤立の壁を越える。こうした取り組みを、当法人グループのMedi Face・北海道オンラインクリニック・行政書士きくち事務所・Z産業医事務所が連携しながら推進しています。
「受け手」にも「支え手」にもなれる地域を目指して
地域共生社会において最も大切なことは、「どんな状況の人も、誰かの役に立てる」という感覚を持てる地域を作ることだと思います。介護が必要な高齢者も、障害のある方も、子育て中の親も、それぞれが持つ経験・知恵・時間を、地域の中で誰かのために活かせる仕組みがあれば、人は孤立しません。デジタルは、そのマッチングをよりスムーズに、より広い範囲で実現するための媒介です。
北海道という広い大地で、私たちは「地域のどこにいても、必要なときに必要なケアにつながれる」社会の実現を目指しています。そのために、住民の皆さん、地域の支援者の皆さん、行政・企業の皆さんと一緒に、デジタルと人の力を組み合わせた新しい地域共生のモデルを作り続けていきたいと考えています。
まず「一歩」を踏み出すために
地域共生社会の実現に向けた取り組みは、大がかりなシステム整備から始める必要はありません。「隣の一人暮らしの高齢者にLINEを教えて連絡先を交換する」「地域のオンラインサロンに参加してみる」「かかりつけ医にオンライン診療の利用を相談する」といった小さな一歩が、やがて大きな地域の変化につながります。当法人では、個人の方のご相談から、地域・企業・行政との連携まで、幅広い形でのお手伝いが可能です。「何から始めればよいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
医療法人鳳應会では、地域共生社会の実現に向け、オンライン診療・介護DX・多職種連携・産業保健など多様な観点からのご相談に対応しています。北海道内の医療・福祉従事者、自治体、企業の皆さまからのご連絡もお待ちしています。
よくある質問
Q. 地域共生社会の「重層的支援体制整備事業」とは、どのような仕組みですか?
A. 2021年度から施行されたこの事業は、介護・障害・子ども・生活困窮といった縦割りの支援体制を横断し、複合的な困難を抱える方への包括的な支援を行う仕組みです。市町村が主体となり、相談支援・参加支援・地域づくりへの支援を一体的に提供します。デジタルツールを活用することで、支援者間の情報共有や住民のつながり支援がより効率的に行えると期待されています。
Q. オンライン診療は、地域に医師がいない過疎地域でも利用できますか?
A. はい、オンライン診療はインターネット環境とスマートフォン・パソコンがあれば、地域を問わず利用できます。ただし、初診からのオンライン診療には一定の条件があり、また対面診察が必要な状況では受診が必要となります。当法人の「北海道オンラインクリニック」では、精神科領域を中心にオンライン診療を提供しており、遠方の方や通院が難しい方もご利用いただいています。詳しくは当法人までお問い合わせください。
Q. 高齢の家族がいますが、デジタルツールを使った見守りを始めるにはどうすればよいですか?
A. まずは、ご家族が使いやすいシンプルなツール(LINEのビデオ通話など)から始めることをお勧めします。市区町村の社会福祉協議会や地域包括支援センターでも、デジタルを活用した見守りに関する相談を受け付けています。また、見守りセンサーや緊急通報システムを組み合わせることで、より安心な体制を作ることも可能です。具体的な状況に応じた方法については、かかりつけ医やケアマネジャーにご相談いただくのが近道です。
Q. 地域共生社会の取り組みに、一般の住民が参加するにはどのような方法がありますか?
A. 地域の社会福祉協議会が主催するボランティア講座、民生委員・児童委員への協力、地域の見守り活動、子ども食堂の運営支援など、さまざまな参加の形があります。デジタルを活用した活動としては、地域SNSへの参加や、高齢者向けのスマートフォン講習のボランティアなどがあります。まずはお住まいの市区町村の社会福祉協議会や地域包括支援センターに相談してみるとよいでしょう。
Q. 介護DXの導入を検討している介護施設・事業所ですが、どこから始めればよいですか?
A. 介護DXの導入は、まず「現場の課題の整理」から始めることをお勧めします。記録業務の負担軽減なのか、情報共有の効率化なのか、リスク管理なのかによって、適切なシステムは異なります。厚生労働省の「介護テクノロジー導入支援事業」では相談窓口や補助金制度が用意されており、活用が可能です。また、導入後の職員研修や運用ルールの整備まで見据えた計画が、成功の鍵となります。
まとめ
本記事では、地域共生社会の実現に向けたデジタル活用の可能性と、北海道における具体的な実践の視点についてお伝えしました。要点を以下にまとめます。
- 地域共生社会とは、住民一人ひとりが支え手にも受け手にもなる互助の仕組みであり、北海道の広域分散という地理的課題の中でデジタル技術との融合が特に重要となっています。
- オンライン診療は、医師の偏在問題を補完するだけでなく、患者の生活課題を把握して地域の支援につなぐ「つなぎ役」としての機能も果たせる可能性があります。
- 介護DXと福祉DXは、現場職員の業務負担を軽減し、人と人との質の高いケアに集中できる環境を整えるための基盤として推進が求められています。
- デジタルデバイドの解消・個人情報保護・継続的な担い手育成が、デジタルを活用した住民支え合い活動を定着させるための重要な課題です。
- 医療機関は「地域情報のハブ」として、多職種連携・地域ケア会議への参加を通じて、地域共生社会の核心的な役割を担える立場にあります。
- 「助けたい気持ち」と「助けてほしい現実」をデジタルでつなぐ小さな一歩が、やがて地域全体の大きな変化を生み出します。
医療法人鳳應会では、オンライン診療・在宅医療・介護DX・産業保健・医療法務など、地域共生社会の実現を支える多様なサービスを北海道で提供しています。「地域のつながりを医療から作りたい」「デジタルを活用した支え合いの仕組みを相談したい」という方は、ぜひ当法人にご連絡ください。住民の皆さん・医療福祉従事者の皆さん・行政や企業の皆さまとともに、北海道に根ざした「誰一人取り残さない」医療と地域づくりを続けてまいります。
参考資料:厚生労働省「地域共生社会のポータルサイト」、社会福祉法(令和2年改正)、厚生労働省「かかりつけ医機能報告制度」(2024年)、Holt-Lunstad J et al. "Loneliness and Social Isolation as Risk Factors for Mortality" Perspectives on Psychological Science, 2015、近藤克則「健康格差社会への処方箋」医学書院、厚生労働省「介護現場における生産性向上の取組に対する加算の見直し」(2024年度介護報酬改定)