認知症が進んだとき、「財産と権利」は誰が守るのか
「お父さんが見知らぬ業者と高額な契約をしていた」「通帳から不自然なお金の引き出しが続いている」――北海道内の地域医療の現場で訪問診療をしていると、こうした相談を家族の方から受けることが少なくありません。認知症の診断を受けたあとも、ご本人は一見普通に生活できているように見えることが多く、周囲が「まだ大丈夫だろう」と思っているうちに、思いがけないトラブルが起きてしまうのです。
認知症は、記憶や判断力が徐々に失われていく疾患です。軽度の段階では日常会話や簡単な手続きができていても、複雑な契約内容の理解や、数十万円・数百万円単位の財産管理となると、適切な判断が難しくなる場合があります。厚生労働省の推計では、2025年には認知症の方が約700万人に達するとされており、こうした権利擁護の問題はますます深刻化していく見通しです。
一方で、「支援が必要だとわかっていても、どの制度を使えばいいのかわからない」「手続きが複雑そうで踏み出せない」という声も多く聞かれます。日本には認知症の方の権利を守るための制度が複数用意されていますが、それぞれの特徴や適用場面の違いが理解されておらず、活用が進んでいない現状があります。
本コラムでは、「成年後見制度」と「日常生活自立支援事業」という二つの主要な権利擁護の仕組みについて、それぞれの目的・対象・手続き・費用・メリットと注意点を整理したうえで、どのような状況でどちらを選べばよいかを考えていきます。認知症のご本人を支えるご家族、支援職の方々にとって、少しでも具体的な指針になれば幸いです。
成年後見制度とはなにか――三つの類型と基本的な仕組み
成年後見制度が生まれた背景
成年後見制度は、2000年(平成12年)に「禁治産・準禁産制度」に代わって導入されました。従来の制度が「能力がない人を保護する」という発想だったのに対し、現行の成年後見制度は「本人の意思と残存能力を尊重しながら支援する」という理念のもとに設計されています。介護保険制度の施行と同じ時期に始まったことからもわかるように、高齢社会における自己決定権の保護を強く意識した制度です。
成年後見制度には、「法定後見」と「任意後見」の二本柱があります。法定後見はすでに判断能力が低下した方を対象とし、任意後見は判断能力がまだあるうちに将来への備えとして利用するものです。どちらも家庭裁判所が関与する点が特徴であり、制度の公正性と透明性が担保されています。
法定後見の三類型:後見・保佐・補助
法定後見には、判断能力の程度に応じて三つの類型があります。もっとも判断能力が低下した方を対象とする「後見」では、成年後見人が財産管理や身上保護(医療・介護に関する契約など)に関する広範な代理権と取消権を持ちます。認知症が中等度以上に進行した方がこれに相当することが多く、ご本人が単独でした契約の多くを後見人が取り消すことができます。
判断能力が著しく不十分な方を対象とする「保佐」では、保佐人が重要な財産行為(不動産の売買、多額の借金、相続の承認など)について同意権・取消権を持ちます。比較的軽度〜中等度の認知症で、日常的なことは自分でできるが重要な判断には援助が必要な方に適しています。さらに判断能力が不十分な方を対象とする「補助」では、補助人の権限は保佐よりもさらに限定的であり、特定の行為についてのみ同意権・取消権が認められます。
任意後見制度:将来に備える「自分で選ぶ」仕組み
任意後見制度は、判断能力が低下する前に、自分が信頼できる人(家族や弁護士など)を後見人候補として選び、公正証書による契約を結んでおくものです。実際に判断能力が低下したとき、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てることで効力が生じます。「誰に自分の財産と生活を任せるか」を自分で決められる点が最大のメリットであり、本人の意思決定を最大限に尊重した制度設計といえます。早めの相談・準備が重要で、認知症の初期診断を受けた段階から検討していただくことをお勧めします。
成年後見制度の申立て手続きと費用――実際の流れを理解する
申立てができる人と申立先
法定後見の申立ては、本人・配偶者・4親等以内の親族・市区町村長などが家庭裁判所に行います。北海道内では、札幌家庭裁判所をはじめ各地の家庭裁判所が窓口となります。申立てには、申立書・本人の戸籍謄本・住民票・診断書(所定の書式)・財産目録などの書類が必要です。書類の準備は煩雑に感じられますが、各地の「成年後見センター」や社会福祉協議会でサポートを受けることができます。
審判から開始まで、どのくらいかかるのか
申立てから後見開始の審判まで、おおむね1〜4か月程度かかることが多いとされています。家庭裁判所は申立書類の審査のほか、精神鑑定(必要な場合)や調査官による調査を行い、後見人等の候補者が適切かどうかを判断します。後見人には、親族が選任される場合と、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職が選任される場合があります。本人の財産が多い場合や、親族間に争いがある場合は専門職後見人が選ばれる傾向にあります。
費用はどのくらいかかるのか
申立て費用は、収入印紙代・郵便切手代・鑑定費用などを合わせておおむね1万〜10万円程度とされています。後見人への報酬は家庭裁判所が決定し、一般的に月額2〜6万円程度が目安です(財産規模や業務内容によって異なります)。なお、経済的に困難な方向けには、法律扶助制度や市区町村の費用助成制度が利用できる場合があります。費用や手続きについては、お住まいの市区町村の担当窓口や地域包括支援センターにご相談ください。
成年後見制度の利用を開始すると、原則として判断能力が回復しない限り終了しません。「とりあえず使ってみる」という性質のものではなく、長期にわたる継続的な関与が前提となるため、開始前に十分な情報収集と専門家への相談が重要です。
日常生活自立支援事業とはなにか――成年後見制度との根本的な違い
日常生活自立支援事業の目的と対象者
日常生活自立支援事業(旧称:地域福祉権利擁護事業)は、厚生労働省の指針のもと、全国の社会福祉協議会が実施している福祉サービスです。認知症・知的障害・精神障害などにより判断能力が不十分な方が、地域で自立した生活を送ることを支援することを目的としています。成年後見制度が「法的な代理・取消権」を軸とするのに対し、この事業は「日常的な金銭管理の援助と相談」に特化しています。
利用できるのは、判断能力が不十分ではあっても、この事業の契約内容を理解できる程度の能力がある方が対象です。つまり、認知症の初期〜軽度段階の方や、比較的軽度の知的障害・精神疾患のある方が主なターゲットとなります。成年後見制度よりも対象者の能力水準が高い段階で利用できる点が特徴です。
具体的にどんな支援が受けられるのか
日常生活自立支援事業が提供する支援は主に以下の三つです。第一は「福祉サービスの利用援助」で、サービスの情報提供・申請手続きの援助・利用料の支払いなどを専門員と生活支援員がサポートします。第二は「日常的金銭管理サービス」で、預金の払い戻し・日常的な支払い(公共料金・家賃など)・生活費の管理を代行します。第三は「書類等の預かりサービス」で、通帳・年金証書・権利証などの重要書類を社会福祉協議会が安全に保管します。
利用の流れと費用
利用を希望する場合は、お住まいの市区町村の社会福祉協議会に相談します。専門員が自宅を訪問し、生活状況や支援ニーズを確認したうえで支援計画を作成し、契約を結びます。支援計画の作成は無料ですが、実際のサービス利用には1回あたり1,000〜1,500円程度の費用がかかります(生活保護受給者は無料)。成年後見制度と比較すると費用は低く抑えられており、軽度の認知症の方の「最初の一歩」として利用しやすい制度といえます。
二つの制度の比較と選び方――どちらを選ぶべきか
制度比較:主な違いを整理する
| 比較項目 | 成年後見制度(法定後見) | 日常生活自立支援事業 |
|---|---|---|
| 実施主体 | 家庭裁判所・後見人 | 社会福祉協議会 |
| 対象者の能力水準 | 判断能力が著しく低下〜欠如 | 契約内容を理解できる程度の能力あり |
| 主な支援内容 | 財産管理・身上保護全般・取消権 | 日常的金銭管理・書類保管・福祉サービス利用援助 |
| 法的強制力 | あり(取消権・代理権) | なし(任意・援助的) |
| 費用(概算) | 月2〜6万円程度(報酬) | 1回1,000〜1,500円程度 |
| 終了のタイミング | 本人死亡・能力回復まで継続 | 本人の意思で解約可能 |
「どちらを選ぶか」の判断基準
判断の基本は「本人の現在の判断能力の水準」にあります。認知症が軽度で、支援員との会話・契約の理解ができるなら、まず日常生活自立支援事業を活用することが現実的です。一方、認知症が中等度以上に進行し、複雑な契約の理解が難しい、すでに不当な契約をしてしまっている、多額の財産の管理が必要といった状況では、法的な取消権・代理権を持つ成年後見制度が適切です。
また、この二つの制度は段階的に移行することもできます。軽度の段階で日常生活自立支援事業を利用し始め、認知症が進行するにつれて成年後見制度の申立てに移行する、というルートは実際の現場でよく見られるパターンです。早期からの相談と制度の連続的な活用が、認知症の方の権利を長期にわたって守るうえで非常に重要です。
任意後見制度の活用タイミング
任意後見制度を利用するなら、判断能力があるうちに動くことが大原則です。認知症の初期診断を受けたばかりの段階、あるいは「最近物忘れが増えた」と感じる段階から、公証役場・司法書士・弁護士などへの相談を始めることをお勧めします。「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちに能力が低下してしまうと、任意後見は利用できなくなります。将来の自己決定を守るための「保険」として、早めの検討が必要です。
認知症と権利侵害――実際に起きているリスクと制度の防波堤としての役割
認知症の人が標的になりやすい被害の実態
消費者庁や国民生活センターの報告によれば、高齢者を狙った消費者被害の件数は年々増加しており、その背景には認知症・判断能力の低下が深く関係していると考えられています。訪問販売・電話勧誘・マルチ商法・不必要なリフォーム契約・架空請求詐欺などが代表的な被害類型です。被害金額が数百万円に及ぶケースも珍しくなく、長年かけて積み上げた老後の蓄えが一瞬で失われる事例も報告されています。
さらに深刻なのは、家族による経済的虐待です。厚生労働省の調査では、高齢者虐待の通報件数のうち経済的虐待が一定割合を占めており、「家族だから大丈夫」という思い込みが、かえって被害の発見・介入を遅らせることがあります。成年後見制度では、後見人の財産管理が家庭裁判所や後見監督人によって監視されるため、家族による不正行為の抑止力にもなります。
医療・介護の場面でも「意思決定支援」が必要
権利擁護の問題は、財産管理だけにとどまりません。医療の場面では、手術・治療方針の選択・施設入所の決定など、重要な意思決定が次々と求められます。厚生労働省が2018年に策定した「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」では、たとえ認知症があっても、本人の意思決定の機会を最大限に確保し、支援することが基本原則として示されています。成年後見人や医療ソーシャルワーカー、主治医が連携して、本人の意思を丁寧にくみ取ることが求められています。
北海道における制度利用の課題
北海道は面積が広大なため、過疎地域では専門職後見人の確保が困難な地域もあります。また、社会福祉協議会の支援員が担当するエリアが広く、サービス提供までに時間がかかるケースも報告されています。こうした地域格差を埋めるために、北海道社会福祉協議会では後見人候補者の育成研修や市民後見人の養成に取り組んでいますが、需要に対して供給が追いついていない側面も否定できません。地域の医療・福祉・法律の専門家が連携してこの課題に取り組むことが急務です。
制度を使いこなすために――相談窓口と連携の仕組み
まず相談すべき場所はどこか
「どこに相談すればいいかわからない」という声が最も多く聞かれます。まず気軽に相談できる窓口として、地域包括支援センターが挙げられます。地域包括支援センターは介護・医療・保健・福祉の相談を一括して受け付けており、成年後見制度や日常生活自立支援事業への橋渡しも行っています。認知症ケアパスや介護保険の相談も含め、高齢者の生活全般に関する「よろず相談窓口」として機能しています。
次に、市区町村の障害・高齢福祉担当窓口も重要な入口です。市町村長申立て(親族がいない・親族が申立てを拒否するなどの場合に市区町村長が代わりに申立てを行う制度)の手続きもここで相談できます。また、法律的な問題が絡む場合は法テラス(日本司法支援センター)が、弁護士・司法書士費用の立替制度を含めた無料相談を提供しています。
医療機関・精神科との連携の重要性
成年後見制度の申立てには、主治医による診断書が必要です。認知症の診断・重症度の評価・今後の見通しについて、主治医が適切な情報を提供できることが円滑な申立てにつながります。精神科・神経内科・かかりつけ医と、地域包括支援センター・社会福祉協議会・弁護士・司法書士が情報を共有し、連携して支援を行う「チームアプローチ」が、認知症の方の権利擁護において最も効果的です。
当法人でも、訪問診療の場面や外来診察の中で、権利擁護に関する相談が寄せられることがあります。医師として診断書の作成に応じるだけでなく、地域包括支援センターや社会福祉協議会への橋渡し、家族へのアドバイスなど、医療と福祉をつなぐ役割を積極的に担っています。認知症の方の「生活全体を支える」という視点が、医療の場でも求められる時代になっています。
成年後見制度利用促進計画と今後の方向性
2016年に施行された「成年後見制度利用促進法」に基づき、国・地方自治体は成年後見制度の利用促進に向けた計画を策定・実施しています。中核機関の設置・市民後見人の育成・専門職団体との連携強化が三本柱として掲げられており、各市区町村での整備が進んでいます。しかし、日本全体でみると成年後見制度の利用者数はまだ潜在的なニーズに比べて低く、制度をもっと身近に感じられるよう、情報提供の充実が課題となっています。
成年後見制度の利用促進においては、2021年に閣議決定された「第二期成年後見制度利用促進基本計画」(2022〜2026年度)のもと、地域連携ネットワークの整備と中核機関の機能強化が全国で進められています。北海道でも各市町村での取り組みが本格化しています。
医療法人鳳應会として――認知症の方の権利を守るための実践的な提案
「早すぎる」ということはない――診断後すぐに動き始めてほしい
私が精神科医として多くの認知症の方・ご家族と向き合ってきた中で、繰り返し感じることがあります。それは、「もっと早く相談していれば、こんな被害は防げた」「もっと早く制度を使っていれば、もっとご本人の意思を反映できた」という後悔の声を聞く場面が、あまりにも多いということです。認知症の診断を受けた直後は、ご本人も家族も受け止めるだけで精一杯かもしれません。しかし、まさにその時期が、将来の権利擁護の手を打つ最善のタイミングでもあります。
認知症初期の段階では、本人が自分の意思を明確に持ち、信頼できる人を選ぶ力がまだ残っています。任意後見制度の準備、日常生活自立支援事業の利用開始、エンディングノートや事前指示書の作成――こうした備えを、「まだ大丈夫」と思える今だからこそ進めていただきたいのです。
鳳應会における認知症支援の取り組み
医療法人鳳應会では、精神科外来・訪問診療・オンライン診療を通じて認知症の早期発見・継続的なフォローアップに取り組んでいます。北海道オンラインクリニックでは、通院が難しい方でもスマートフォンやパソコンを使って精神科・認知症の相談を受けることができます。また、グループの行政書士きくち事務所と連携することで、成年後見申立てに関連する書類作成・手続きのサポートも視野に入れた支援体制を整えています。
「病を治す」だけでなく、「人生を支え抜く」――これが鳳應会の基本姿勢です。認知症のご本人が尊厳を持って暮らし続けられるよう、医療・法律・福祉が一体となったサポートを提供することが、私たちの責任であると考えています。ご家族だけで悩みを抱え込まず、ぜひ早めにご相談ください。
制度を「使える」社会をつくるために
権利擁護の制度は、使われなければ意味がありません。「制度があることを知らなかった」「使い方がわからなかった」という理由で、多くの方が守られるべき権利を守られないまま過ごしている現実があります。私たち医療者・福祉職が積極的に情報提供を行い、患者さんやご家族が制度にアクセスしやすい環境を整えることが重要です。地域の医療・介護・法律の専門職が顔の見える連携を深め、認知症の方一人ひとりに寄り添った支援ができる北海道の地域社会をつくっていきたいと思います。
参考:厚生労働省「成年後見制度利用促進基本計画(第二期)」2021年、日本司法書士会連合会「成年後見統計」、消費者庁「高齢者の消費者被害防止に関する取組」、厚生労働省「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」2018年
よくある質問
Q. 認知症の親が詐欺にあってしまいました。すでに契約してしまった場合、取り消せますか?
A. 成年後見制度(後見・保佐・補助)の利用者は、後見人等が一定の契約を取り消すことができます。ただし、すでに制度を利用していない場合でも、民法上の「意思能力の欠缺(けんけつ)」を理由に契約の無効を主張できる場合があります。まずは消費生活センター(188)または弁護士・司法書士にご相談ください。認知症の診断書があると交渉を進めやすくなる場合があります。
Q. 成年後見人になれるのは家族だけですか?弁護士や司法書士でないといけませんか?
A. 成年後見人は家族でも、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職でもなることができます。家庭裁判所が、本人の状況・財産規模・親族関係などを総合的に判断して選任します。本人の財産が多い場合や親族間に対立がある場合は専門職が選ばれる傾向がありますが、財産規模が小さく親族関係が良好な場合は家族(配偶者・子など)が選ばれることも多いです。また、市民後見人(一般市民が養成研修を受けて後見人を担う制度)の活用も広がっています。
Q. 日常生活自立支援事業を利用したいのですが、認知症の診断がなくても相談できますか?
A. はい、医師の診断書がなくても相談することができます。日常生活自立支援事業の利用には医療診断書の提出は必須ではなく、社会福祉協議会の専門員が面談を行い、本人がサービス内容を理解したうえで契約できるかを確認します。「もの忘れが増えてきて、お金の管理が心配」という段階でご相談いただくのが理想的です。
Q. 成年後見制度の費用が払えない場合はどうすればよいですか?
A. 経済的に困難な場合、いくつかの支援があります。法テラス(日本司法支援センター)では、弁護士・司法書士費用の立替払い制度(法律扶助)を利用できます。また、多くの市区町村では「成年後見制度利用支援事業」として申立て費用や後見人報酬の助成を行っています。生活保護受給者や低所得者を対象にした助成の場合が多いので、お住まいの市区町村の担当窓口にご確認ください。
Q. 認知症の家族のために成年後見制度を申立てたいのですが、家族間で意見が割れています。どうすればよいですか?
A. 申立ては親族の全員一致が必要なわけではなく、申立てができる親族のうち一人が行えば足ります。ただし、家庭裁判所は審理の中で親族全員の意見を確認する手続きを行うことがあります。意見が対立している場合は、家庭裁判所が中立的な立場から判断を下しますが、親族間の紛争が激しい場合は専門職後見人が選任される可能性が高くなります。弁護士や地域包括支援センターへの相談を通じて、まず家族間での情報共有を図ることをお勧めします。
まとめ
認知症の方の「権利」を守るための制度として、成年後見制度と日常生活自立支援事業は、対象者の能力水準や支援の内容において異なる役割を持っています。どちらが適切かは、本人の現在の状態とニーズによって判断する必要があります。
- 成年後見制度には「法定後見(後見・保佐・補助)」と「任意後見」があり、判断能力の程度に応じて類型が分かれる。任意後見は能力があるうちに準備することが重要。
- 日常生活自立支援事業は、契約内容を理解できる程度の能力がある方を対象とし、日常的な金銭管理・書類保管・福祉サービス利用援助を社会福祉協議会が支援する制度。費用は成年後見制度より低い。
- 認知症が軽度の段階では日常生活自立支援事業から始め、進行に合わせて成年後見制度へ移行する段階的な活用が現実的な選択肢となる。
- 詐欺・悪質商法・経済的虐待から守るためには、早期からの制度利用と、医療・法律・福祉の専門家による連携したチームアプローチが不可欠。
- まず相談すべき窓口は地域包括支援センター・市区町村の担当窓口・法テラス・社会福祉協議会。「早すぎる」相談はなく、診断後できるだけ早い行動が本人の意思を守る。
- 医療法人鳳應会では、精神科外来・訪問診療・オンライン診療を通じて認知症の方とご家族を継続的に支援。権利擁護に関する相談のご紹介・連携も行っています。
「どこに相談していいかわからない」「うちの親の場合はどうすればいい?」とお悩みの方は、まずは医療法人鳳應会の外来・北海道オンラインクリニックにご相談ください。認知症の評価・診断書の作成から、地域の支援機関へのつなぎまで、医療の立場からしっかりと伴走いたします。ご本人とご家族が安心して将来を見通せるよう、私たちは全力でサポートします。