「使えない」ではなく「使える環境がない」——デジタルデバイドが生む見えない格差
「スマホは難しくて……」「パソコンは若い人のもの」——北海道の地域医療・訪問診療の現場を歩いていると、こうした声を日常的に耳にします。オンライン診療の予約システム、行政の電子申請、介護保険の情報検索。これらは理屈の上では誰でも使えるはずですが、実際には高齢者や障害のある方にとって、その「入口」自体が大きな壁となっているケースが少なくありません。
デジタルデバイドとは、情報通信技術(ICT)を活用できる人とできない人の間に生まれる、機会・情報・サービスへのアクセス格差を指します。総務省の「通信利用動向調査(令和5年)」によれば、インターネット利用率は全体では84.9%に達する一方、70代では約65%、80代以上では約30%前後にとどまっています。障害のある方についても、視覚・聴覚・肢体・知的・精神など障害種別によって、デジタルツールへのアクセス困難は多様な形で現れます。
北海道という地理的条件はこの問題を一層複雑にします。広大な面積に人口が分散し、冬は交通が遮断されやすい環境では、デジタルによる情報格差がそのまま「医療格差」「福祉格差」に直結しかねません。私が理事長を務める医療法人鳳應会が、オンライン診療や在宅医療、そして福祉DXに力を入れてきた背景には、こうした北海道固有の課題意識があります。
重要なのは、デジタルデバイドを「高齢者や障害者の個人的な能力の問題」として捉えないことです。適切な環境整備と伴走型の支援があれば、多くの方がICTの恩恵を受けられる可能性があります。本記事では、その具体的な考え方と実践についてお伝えしていきます。
デジタルデバイドの現状と北海道における特有の課題
数字で見るデジタル格差の実態
総務省「デジタル活用支援推進事業」の調査(令和4年度)では、スマートフォンの基本操作に困難を感じる高齢者は全国で1,300万人以上と推計されています。さらに、内閣府の「障害者白書(令和5年版)」では、身体障害者・知的障害者・精神障害者を合わせた障害者数は約1,160万人(手帳所持者ベース)に上り、その多くがデジタルサービスへの十分なアクセスを持てていない状況が示唆されています。
北海道においては、過疎地域の通信インフラ整備の遅れという問題も重なります。総務省「ブロードバンド整備の推進」に関するデータでは、北海道の一部農村・山間部ではいまだに光回線が届かず、モバイル通信も不安定なエリアが存在します。ICTを使いたくても「まず回線がない」という物理的なデバイドが先行している地域もあるのが現実です。
障害種別ごとに異なるアクセス困難
デジタルデバイドは一律に語れるものではなく、障害の種別によってその様相は大きく異なります。視覚障害のある方にとっては、スクリーンリーダーや音声読み上げ機能の活用が鍵となりますが、対応していないウェブサービスやアプリが依然として多く存在します。聴覚障害のある方は、音声中心の情報発信(電話・アナウンス)から排除されやすく、テキストや字幕による代替手段の整備が不可欠です。
肢体不自由の方は、スマートフォンの小さなタッチパネル操作そのものが困難なことがあります。知的障害や発達障害のある方にとっては、複雑な操作手順や抽象的な文章表現が障壁となりがちです。精神障害のある方の場合、意欲の波や集中力の変動がICT活用の継続性に影響することも少なくありません。こうした多様性を前提に支援を設計する必要があります。
「デジタル化すれば解決」という落とし穴
行政や医療機関のDX推進が進む一方で、「デジタル化すれば効率的になる」という前提だけで進めると、最も支援を必要とする方々が取り残されるリスクがあります。厚生労働省も「デジタル活用における障壁のある方への合理的配慮」を求めており、アクセシビリティの確保が社会全体の課題として位置付けられています。デジタル化の推進と、デジタルを使えない方への支援体制の整備は、車の両輪として同時に進める必要があります。
伴走型ICT支援とは何か——「教える」から「一緒に使う」へ
伴走型支援の基本的な考え方
デジタルデバイド解消に向けた支援アプローチとして、近年注目されているのが「伴走型支援」という考え方です。従来のICT支援は、「スマートフォン講座」「パソコン教室」のように、一定期間で操作方法を教え、後は本人に任せるという「移転型」が主流でした。しかし、この方式では習得した知識が定着しにくく、困ったときに立ち止まってしまうケースが多く見られます。
伴走型支援では、支援者が継続的に本人の側に寄り添いながら、実際の生活課題をICTで解決する体験を積み重ねていきます。「オンライン診療の予約をしてみましょう」「処方薬の宅配手続きを一緒にやってみましょう」といった形で、本人の生活に直結した具体的な場面でICTを使う経験を繰り返すことで、自然な形でスキルと自信が育まれていきます。
総務省「デジタル活用支援推進事業」との連携
総務省は令和3年度から「デジタル活用支援推進事業」を展開し、携帯ショップや郵便局、図書館などを拠点としたスマートフォン相談窓口の整備を進めています。しかし、地域によってはこうした拠点へのアクセス自体が困難な高齢者・障害者も多く、「窓口まで行けない方をどう支援するか」という課題が残ります。ここで重要になるのが、医療・福祉の訪問支援と組み合わせた「出向く型」のICT支援です。
訪問診療や訪問介護のスタッフが、医療・介護サービスの提供と並行してICT活用の伴走支援を担う仕組みは、北海道のような広域過疎地域において特に有効な可能性があります。当法人でも、訪問診療の場でオンライン診療ツールの使い方を一緒に確認したり、介護記録のデジタル化に伴って家族との情報共有アプリを導入するサポートを行ったりするなど、医療・福祉の現場からICT支援を実践しています。
支援者自身のデジタルリテラシー向上も不可欠
伴走型支援を機能させるには、支援者側のデジタルリテラシーの向上が前提となります。介護職員や相談支援専門員、訪問看護師がICTツールを自信を持って使えるようになってこそ、利用者への伴走が可能になります。当法人のグループ組織であるMedi Face(精神科DX)や北海道オンラインクリニックの運営を通じて、スタッフのデジタルスキル向上に継続的に取り組んでいます。
オンライン診療が拓く——デジタルを福祉・医療アクセスの「橋」にする
オンライン診療の普及がもたらす恩恵と課題
2020年以降のコロナ禍を契機に、オンライン診療は急速に普及しました。厚生労働省の「令和4年度オンライン診療の実施状況」によれば、初診からのオンライン診療が恒久化され、精神科・心療内科領域でも広く活用されるようになっています。移動が困難な高齢者や障害のある方、過疎地域に暮らす方にとって、通院の負担を大幅に軽減できるオンライン診療は、医療アクセスの「橋」となる可能性を持っています。
当法人が運営する北海道オンラインクリニックは、精神科オンライン診療を通じて、通院困難な方や地方在住の方への医療アクセス向上を図っています。実際に、札幌から遠く離れた道内の過疎地域にお住まいの方が、定期的なオンライン診療によって精神科の継続治療を受けられるようになった事例を複数経験しています。
「オンライン診療を受けるための支援」という新たな課題
一方で、オンライン診療を「受けるための操作」そのものが難しい方には、そこにまた別のデバイドが生まれます。スマートフォンでのビデオ通話の設定、アプリのインストール、本人確認書類の送付——これらの手順が一つのハードルとなり、「使いたいけど使えない」という状況が生まれます。
この問題を解決するアプローチとして有効なのが、家族や支援者による「代理操作支援」と「初回同席支援」です。最初の一回だけ、訪問スタッフや家族が一緒に設定・接続を行い、その体験を本人が積み重ねることで徐々に自立していく流れを作ることができます。当法人では、こうした初回支援を丁寧に行うことを大切にしています。
アクセシビリティを意識したデジタル設計の重要性
医療機関・行政・福祉サービス提供者側も、アクセシビリティに配慮したデジタル設計を進める責任があります。JIS X 8341(ウェブアクセシビリティ)への準拠、文字の大きさや色のコントラストへの配慮、音声読み上げ対応、シンプルな操作手順など、「使いやすいデジタル」を設計する姿勢が、デジタルデバイド解消の根本的な一手となります。
高齢者のICT活用を支える地域ネットワークの作り方
医療・介護・福祉が連携する「デジタル支援の生態系」
高齢者のICT活用を継続的に支えるには、単一の支援者や機関だけで担うのではなく、地域の医療・介護・福祉・行政・民間が連携した「デジタル支援の生態系」を構築することが重要です。地域包括支援センターが相談窓口となり、訪問介護事業者が日常的な伴走支援を担い、医療機関がオンライン診療で継続ケアを提供する——こうした役割分担と連携の仕組みが、持続可能な支援を実現します。
厚生労働省の「地域包括ケアシステム」の枠組みにデジタル支援を組み込むことは、令和6年度の介護保険制度改正でも重要な政策課題として位置付けられています。医療法人が地域のICT支援に積極的に関与することは、地域医療・福祉の底上げという点でも重要な役割を果たすと考えています。
デジタル支援ボランティアと住民力の活用
地域住民自身が「デジタル支援サポーター」として活動する仕組みも各地で広がりつつあります。総務省の「デジタル活用支援推進事業」でも、地域住民やシニア世代がスマートフォン相談員として活躍するモデルが奨励されています。特に、同世代の高齢者が教え合う「ピアサポート型」のICT支援は、心理的なハードルが低く、継続的な関係性を築きやすいというメリットがあります。
北海道では、地域コミュニティの結びつきが都市部より強い地域も多く、こうした住民力を活かしたデジタル支援ネットワークの構築には大きな可能性があります。医療機関やNPO、自治体が協力してサポーターを養成・支援する枠組みが、今後さらに重要になってくるでしょう。
「ICTを使えること」が社会参加につながる
ICT活用支援の目的は、単なるスマートフォン操作の習得ではありません。デジタルツールを通じて、外出困難な方がオンラインで交流したり、趣味の情報を集めたり、行政サービスを自分で調べたりできるようになることで、社会参加の機会が広がります。孤立予防や認知機能の維持にもつながる可能性があると、国内外の複数の研究で示唆されています。ICT支援は「福祉の目的」そのものとも深く関わっています。
障害のある方へのICT活用支援——合理的配慮とテクノロジーの可能性
障害者差別解消法と合理的配慮の義務化
2024年4月、改正障害者差別解消法が施行され、民間事業者を含むすべての事業者に「合理的配慮の提供」が義務付けられました。医療・福祉機関においても、障害のある方がデジタルサービスを利用する際に、個々の状況に応じた対応を行うことが法的に求められます。これは単なるコンプライアンスの問題ではなく、すべての方が医療・福祉サービスにアクセスできる環境を整える人権的な取り組みです。
具体的な合理的配慮の例としては、視覚障害のある方への音声読み上げ対応・点字による案内、聴覚障害のある方へのテキストチャットや筆談での対応、知的障害のある方へのわかりやすい言葉・絵図を使った説明などが挙げられます。医療機関のウェブサイトや予約システムも、こうした配慮の下で設計・運営されるべきです。
補助技術(AT)と福祉機器の活用
ICTアクセシビリティを高める補助技術(Assistive Technology: AT)は近年著しく進歩しています。視線入力デバイス、スイッチコントロール、音声入力(Voice Over等)、拡大読書器の電子化など、重度の肢体不自由や視覚障害がある方でもスマートフォンやタブレットを操作できる可能性が広がっています。
相談支援専門員や作業療法士、福祉機器の専門家が連携して、個々の障害特性に応じた最適なICTツールと補助技術の組み合わせを選定・導入する支援体制の整備が求められます。当法人でも、精神科・在宅医療の現場で、利用者の生活課題に応じたICTツールの活用提案を心がけています。
精神障害・発達障害の方へのICT支援の特性
精神障害や発達障害のある方へのICT支援では、障害の特性への深い理解が不可欠です。うつ状態の時には操作意欲が低下する、不安が強い時はエラー画面に強いストレスを感じる、ADHDの特性から操作手順を覚えることが難しいなど、症状の波や認知特性に合わせた柔軟な支援が求められます。「できた体験」を丁寧に積み重ね、失敗しても責めない関わりが重要です。また、当法人グループのMedi Face(精神科DX)では、精神科領域でのデジタルツール活用を通じて、こうした方々の生活支援に取り組んでいます。
福祉DXの進展と現場が直面するジレンマ
介護・福祉現場のデジタル化が進む一方で
介護記録の電子化、AIによるケアプラン作成支援、見守りセンサー、介護ロボットの導入——福祉DXは急速に進んでいます。厚生労働省は「介護情報基盤」の整備を通じて、介護関連情報の電子化・共有を推進しており、令和6年度介護報酬改定でもICT活用に関連した加算が拡充されました。
しかしその一方で、現場では「ICTの導入が増えたが、かえって書類作業が増えた」「機器の操作トラブル対応に追われる」という声も聞かれます。テクノロジーの導入が「手段」でなく「目的」になってしまうと、本来の利用者ケアの質が下がるリスクがあります。ICT導入は、現場の実態に即したスモールスタートと丁寧な定着支援が不可欠です。
データ活用と個人情報保護のバランス
福祉DXの推進においては、個人情報・医療情報の取り扱いに細心の注意が必要です。利用者の健康データ・生活情報は極めて機微な個人情報であり、個人情報保護法・医療・介護関連の各種ガイドラインに則った管理・利活用体制が不可欠です。当法人では、オンライン診療や電子記録システムの運用において、情報セキュリティの徹底を最優先事項の一つとして位置付けています。
医療・福祉サービスにおけるデジタルツールの活用にあたっては、利用者・家族への十分な説明と同意のもとで進めることが大原則です。「よくわからないけど同意させられた」という状況は、信頼関係の根幹を損ないます。
ICTを使えない方へのアナログ支援も継続することの重要性
福祉DXが進む中でも、ICTを使えない方・使いたくない方への「アナログ支援」を並行して維持し続けることは非常に重要です。電話での相談受付、紙の申請書類の継続、訪問による対面支援——デジタルに移行しながらも、これらを削減・廃止しないことが、誰一人取り残さない地域づくりの基本です。「デジタル化=アナログ廃止」ではないという原則を、支援者全員が共有しておく必要があります。
デジタルデバイド解消の目標は「全員をデジタル化する」ことではなく、「デジタルを選択できる方にはより良い環境を提供しつつ、デジタルを使わない選択をする方への支援も確保する」ことです。多様な選択肢の共存が、真のインクルーシブな地域医療・福祉の姿と考えています。
医療法人鳳應会の取り組みと、地域の皆さまへのメッセージ
「つながる医療」を目指して——鳳應会のICT・DX実践
医療法人鳳應会は、「病を治す」から「人生を支え抜く」を理念に掲げ、札幌・小樽を中心に地域医療・在宅医療・精神科・介護を複合的に展開してきました。その中で、オンライン診療・医療DX・福祉DXへの取り組みは、地域の医師偏在や交通弱者・移動困難者への医療アクセス向上という明確な目的に基づいています。
北海道オンラインクリニックでは、精神科のオンライン診療を通じて、通院が難しい方への継続的な医療提供を行っています。Medi Face(精神科DX)では、精神科領域におけるデジタル技術の活用を研究・実践しています。これらの取り組みは、デジタルを「目的」ではなく、人と医療をつなぐ「手段」として活用するという姿勢に基づいています。
地域全体で「伴走」するという覚悟
私が大切にしているのは、「伴走」という言葉の持つ意味です。先を走りすぎず、でも立ち止まらず、本人のペースに合わせて一緒に進む。ICT支援においても、医療・福祉においても、この姿勢が本質だと考えています。スマートフォンの使い方を一度教えて終わりではなく、困ったときに声をかけられる関係性、地域の中に「デジタルの相談相手」が自然にいる状態を作っていくことが、持続可能な伴走型支援の基盤です。
医療法人鳳應会は、訪問診療・在宅医療・オンライン診療・相談支援のネットワークを活かして、こうした伴走型ICT支援の輪を地域に広げていくことを目指しています。単独の医療法人でできることには限界がありますが、行政・福祉事業者・地域住民と協力することで、より広い変化を生み出せると信じています。
「つながりたい」気持ちを、テクノロジーが後押しできるように
高齢になっても、障害があっても、遠い地域に住んでいても、「誰かとつながりたい」「必要な医療・福祉にアクセスしたい」という気持ちは変わりません。ICTはその気持ちを実現するための強力な道具です。しかしそれは、使い方を知っている人だけの道具であってはなりません。誰もが使いやすい環境と、使えるようになるための伴走支援があってこそ、テクノロジーは真に「人のためのもの」になります。
「スマホの使い方がわからない」「オンライン診療を試してみたい」「ICT活用について相談したい」——そのような方は、ぜひ当法人またはお近くの地域包括支援センターにご相談ください。一人ひとりのペースに合わせて、丁寧にお手伝いします。
参考:総務省「通信利用動向調査(令和5年)」/総務省「デジタル活用支援推進事業」/厚生労働省「障害者差別解消法ガイドライン(令和6年改訂版)」/内閣府「障害者白書(令和5年版)」/厚生労働省「令和4年度オンライン診療の実施状況調査」
よくある質問
Q. 高齢の親がスマートフォンをうまく使えず、オンライン診療を受けられません。どうすればよいですか?
A. まずはご家族が一緒に操作を試みることが、最も効果的な第一歩です。最初の一回だけ接続を一緒に行うだけで、次回以降のハードルが大きく下がることがよくあります。医療機関側に「操作の補助が必要」と事前に伝えることで、丁寧なサポートを受けられる場合もあります。また、地域包括支援センターや総務省の「デジタル活用支援推進事業」の窓口(携帯ショップ・郵便局など)に相談することも有効です。
Q. 障害のある方がオンライン診療を使う場合、どのような配慮が必要ですか?
A. 障害の種別・程度によって必要な配慮は異なります。視覚障害のある方には音声での案内や音声読み上げ対応アプリの活用、聴覚障害のある方にはテキストチャットや手話通訳者の同席、肢体不自由の方には音声入力・スイッチコントロールの活用などが考えられます。ご利用の医療機関に事前に障害の状況をお伝えいただくと、合理的配慮の提供について相談しやすくなります。当法人でもご相談を受け付けています。
Q. 北海道の過疎地域に住んでいますが、通信環境が不安定でオンライン診療がうまくできません。
A. 通信インフラの整備は行政が推進すべき課題ですが、現時点での対策としては、モバイルWi-Fiルーターの活用、通信状態の比較的安定した時間帯の選択、スマートフォンのキャリア回線の見直しなどが有効な場合があります。また、電話(音声のみ)での診療対応が可能な場合もあるため、医療機関に相談してみることをお勧めします。自治体の窓口に通信環境の改善について要望を伝えることも重要です。
Q. 介護施設でICT導入を進めたいが、スタッフのデジタルスキルに差があります。どう対応すればよいですか?
A. スタッフのデジタルスキルの差は多くの施設で共通の課題です。まずは「全員を一律に」ではなく、操作が得意なスタッフを「ICTサポーター」として育成し、職場内で互いに教え合う体制を作ることが効果的です。また、導入するICTツールはできるだけシンプルで直感的に操作できるものを選ぶことが重要です。スモールスタートで成功体験を積み重ね、徐々に活用範囲を広げていく進め方が、現場への定着につながりやすいと考えられています。
Q. 精神科のオンライン診療は、どのような方が利用できますか?
A. 当法人が運営する北海道オンラインクリニックでは、うつ病・不安障害・不眠症・適応障害など幅広い精神科的なご相談・診療に対応しています。通院が難しい方、道内の過疎地域にお住まいの方、仕事や家事の合間に受診したい方などにご活用いただいています。初診からのオンライン診療が可能かどうかは状況によって異なりますので、まずはお問い合わせください。なお、緊急性の高い症状(希死念慮など)がある場合は、オンライン診療ではなく直接受診または救急対応をお勧めします。
まとめ
本記事では、デジタルデバイドの現状と、高齢者・障害のある方がICTを使いこなすための伴走型支援について、地域医療・福祉の視点からお伝えしました。重要なポイントを以下にまとめます。
- デジタルデバイドは「個人の能力の問題」ではなく、環境・支援体制の不足によって生まれる社会的な課題であり、医療・福祉アクセスの格差に直結する。
- 伴走型ICT支援とは、一度教えて終わりではなく、本人の生活課題に寄り添いながら継続的にICT活用を共に積み重ねていく支援アプローチである。
- オンライン診療は通院困難な方の医療アクセスを広げる有力な手段だが、「受けるための操作支援」という新たな伴走が必要なケースも多い。
- 障害種別(視覚・聴覚・肢体・知的・精神)ごとに必要な合理的配慮・補助技術は異なり、個別性を尊重したICT支援設計が求められる。
- 福祉DXの推進においても、ICTを使えない・使わない方へのアナログ支援を並行して維持することが、誰一人取り残さない地域づくりの基本である。
- 医療法人鳳應会は、北海道オンラインクリニック・Medi Face・訪問診療ネットワークを通じて、地域のデジタルデバイド解消と伴走型ICT支援の推進に取り組んでいる。
「ICTのことが不安」「オンライン診療を試してみたい」「福祉サービスのデジタル化について相談したい」という方は、医療法人鳳應会またはお近くの地域包括支援センターへお気軽にご相談ください。デジタルの壁を一緒に越えるための伴走を、私たちは惜しみません。