「運動が体に良い」とわかっていても、なぜ動けないのか

「もっと体を動かさなければいけない」と感じながらも、なかなか行動に移せない——。そのような状況は、決してあなただけではありません。厚生労働省の「国民健康・栄養調査(2022年版)」によれば、日本人成人の約60%以上が運動習慣を持っていないとされており、特に北海道の冬季においては積雪・凍結による外出困難が重なり、身体活動量が著しく低下しやすい環境にあります。

一方で、「運動が特定の疾患に対して薬に匹敵する、あるいはそれ以上の効果を持つ可能性がある」という研究報告が、近年、世界の主要な医学誌に相次いで発表されています。英国医学誌BMJが2023年に掲載したメタアナリシスでは、運動介入が抗うつ薬と同等以上のうつ症状改善効果を持つ可能性が示されました。また、Lancetに掲載された大規模研究では、適度な運動習慣が認知症リスクを最大30〜40%低下させる可能性があることが報告されています。

私が精神科医・産業医|内科医・総合診療科医として日々の診療で感じるのは、「運動の重要性は頭でわかっているが、疾患や生活環境がその妨げになっている」という患者さんの葛藤です。本記事では、その葛藤に丁寧に向き合いながら、運動療法の科学的根拠と、北海道という環境でも実践できる具体的な方法を、できる限りわかりやすくお伝えしていきます。

運動療法とは何か——その種類と医学的位置づけ

運動療法の定義と主な種類

「運動療法」とは、医学的根拠に基づいて処方・指導される身体活動のことを指します。一般的な「スポーツ」や「フィットネス」とは異なり、患者さんの病態・体力・年齢・生活背景を考慮したうえで設計される点が特徴です。主な種類としては、有酸素運動(ウォーキング・水泳・自転車など)、筋力トレーニング(レジスタンス運動)、柔軟性・バランス運動(ストレッチ・ヨガ・太極拳など)の三つに大きく分類されます。

日本リハビリテーション医学会や日本糖尿病学会など国内の各専門学会は、それぞれの疾患に応じた運動療法のガイドラインを整備しており、適切な種類・強度・頻度・時間を医師や理学療法士が指導することを推奨しています。運動は「やれば良い」というものではなく、正しく処方されてこそ治療的な効果を発揮するものです。

運動が体に与えるメカニズム

運動がなぜ多様な疾患に効果をもたらすのかについては、いくつかの生物学的メカニズムが解明されています。まず、骨格筋が収縮する際にマイオカインと呼ばれるホルモン様物質が分泌されます。イリシン・BDNF(脳由来神経栄養因子)・IL-6などがその代表例であり、これらが脳・心臓・膵臓・肝臓などに多面的な保護作用を及ぼすことが知られています。

また、運動は慢性炎症を抑制する働きがあります。慢性的な炎症は、糖尿病・動脈硬化・うつ病・認知症など多くの生活習慣病の共通した基盤として注目されており、運動による抗炎症効果はこれらの疾患全般に恩恵をもたらすと考えられています。さらに、自律神経バランスの改善・インスリン感受性の向上・酸化ストレスの軽減なども、運動の重要なメカニズムとして挙げられます。

「運動処方」という考え方

近年では、医師が薬と同様に「運動処方箋」を発行するという考え方が普及しつつあります。世界保健機関(WHO)が2020年に発表した「身体活動・座位行動に関するガイドライン」では、成人に対して週150〜300分の中強度有酸素運動、または週75〜150分の高強度有酸素運動を推奨しています。これは日本の各学会のガイドラインとも概ね整合しており、当法人でも診療の中でこの指針を参考に患者さん一人ひとりに合わせた提案を行っています。

慢性疾患(糖尿病・高血圧・心疾患)への運動療法の効果

2型糖尿病における運動の役割

2型糖尿病に対する運動療法の効果は、医学的に最も豊富なエビデンスが蓄積されている分野の一つです。有酸素運動を継続することで、筋肉によるブドウ糖の取り込みが促進され、インスリン感受性が改善されます。日本糖尿病学会のガイドライン(2024年版)では、週3〜5日・合計150分以上の中強度有酸素運動と、週2〜3回の筋力トレーニングを組み合わせることが推奨されています。

大規模臨床試験「Look AHEAD」(米国)では、約10年間の追跡調査において、運動を含む生活習慣改善介入群でHbA1c(血糖コントロールの指標)が有意に改善し、体重・血圧・脂質プロファイルも好転したことが示されました。北海道においても、冬季の運動不足が血糖コントロールの悪化につながりやすいため、季節に応じた運動戦略が特に重要だと私は感じています。

高血圧・心疾患への効果

高血圧に対しては、有酸素運動が収縮期血圧を平均5〜8mmHg程度低下させる可能性があるとされています(Hypertension誌掲載のメタアナリシス)。この値は一部の降圧薬に匹敵するレベルであり、軽症高血圧の方では運動習慣の確立だけで薬が不要になるケースもあると報告されています。ただし、降圧薬を自己判断で中止することは危険であり、必ず主治医とご相談ください。

また、心疾患の患者さんに対する「心臓リハビリテーション」は、日本循環器学会のガイドラインでも強く推奨されており、再入院リスクの低下・生命予後の改善・QOL(生活の質)の向上に効果があるとされています。心疾患をお持ちの方は、医師の監督のもとで段階的に運動強度を上げていく「監視型運動療法」から始めることが安全です。

慢性腎臓病・COPD・がん患者への広がり

近年では、慢性腎臓病(CKD)・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・がん患者さんに対する運動療法の有効性も注目されています。CKDに対しては、適度な有酸素運動が腎機能の低下速度を緩やかにする可能性が示唆されており、COPDに対しては肺リハビリテーションとして呼吸筋トレーニングや歩行訓練が標準的治療の一部となっています。がん患者さんにおいては、化学療法中の適度な運動が倦怠感を軽減し、免疫機能を保つ可能性があるとする研究が増えています。

うつ病・不安症・メンタルヘルスへの運動療法の効果

うつ病に対する運動の科学的根拠

精神科専門医として、私が最も関心を持ち、日常診療に取り入れているのが「うつ病に対する運動療法」です。2023年にBMJに掲載されたネットワークメタアナリシス(218の無作為化比較試験・約14,000名を対象)では、ウォーキング・ランニング・ヨガ・筋力トレーニングなどの運動が、うつ症状の改善において抗うつ薬や認知行動療法と同等以上の効果を持つ可能性があることが示されました。この研究は世界的に大きな反響を呼び、精神科領域における運動療法の位置づけを大きく変えるものとして注目されています。

メカニズムとしては、運動によってセロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンといった神経伝達物質の分泌が促進されること、前述のBDNF(脳由来神経栄養因子)が増加して神経の可塑性が高まること、視床下部-下垂体-副腎軸(HPA軸)が正常化されてストレスホルモンであるコルチゾールの過剰分泌が抑制されることなどが考えられています。また、「やり遂げた」という達成感が自己肯定感を高め、うつに特有の「何もできない自分」という自動思考を修正する心理的効果も見逃せません。

不安症・PTSDへの効果

うつ病だけでなく、不安症(パニック障害・社交不安症・全般性不安症)やPTSD(心的外傷後ストレス障害)に対しても、運動療法の効果を支持する研究が増えています。有酸素運動は、自律神経の副交感神経系を活性化させ、過覚醒状態にある神経系を落ち着かせる働きがあると考えられています。特に、自然の中でのウォーキング(グリーンエクササイズ)は、通常のウォーキングと比較してさらに高いストレス軽減効果をもたらす可能性があるとする報告もあります。

うつ病での運動実践における注意点

一方で、うつ病のある方が運動を始めることの難しさも、精神科医として十分に理解しています。うつ病の中核症状のひとつに「意欲・気力の低下」があるため、「運動しなければいけない」という思いがかえってプレッシャーになり、自己嫌悪を深めるケースもあります。重要なのは、症状の重さに応じて、無理のない強度・時間から少しずつ始めることです。まずは「1日5分、部屋の中で軽くストレッチをする」程度から始め、主治医や支援者と相談しながら段階的に増やしていくことをお勧めしています。

重症うつ病の急性期や、自傷・自殺念慮が強い時期には、運動よりもまず専門医による適切な治療と休養が優先されます。運動療法の導入時期や強度については、必ず主治医とご相談ください。

認知症予防・進行抑制への運動療法の効果

運動が認知症リスクを下げるというエビデンス

認知症は、日本において約700万人(2025年推計・厚生労働省)が罹患しているとされ、北海道においても高齢化の進展に伴い患者数の増加が続いています。これまで「認知症は防ぎようがない」と思われがちでしたが、近年の研究によって、生活習慣の改善——特に運動——が認知症リスクを有意に低下させる可能性があることが明らかになってきました。

Lancet委員会が2024年に発表した報告書では、認知症の潜在的な危険因子として12項目を特定し、そのうち「身体的不活動」を重要なリスク因子として位置づけています。大規模コホート研究では、定期的な運動習慣がアルツハイマー型認知症リスクを最大35〜40%低減させる可能性があると報告されており、これは禁煙・血圧管理と並ぶ最も重要な予防介入のひとつとされています。

BDNFと海馬の神経新生——運動が脳を守るメカニズム

運動が認知症予防に貢献するメカニズムとして最も注目されているのが、BDNF(脳由来神経栄養因子)の増加です。BDNFは脳内の神経細胞の生存・成長・分化を促す「脳の肥料」ともいえる物質で、有酸素運動によってその分泌が顕著に増加することが示されています。特に、記憶と学習の中枢である海馬においてBDNFが増加すると、神経新生(新しい神経細胞の生成)が促進されます。

米国のカーク・エリクソン博士らの研究では、60〜79歳の高齢者が1年間の有酸素運動プログラムを実施したところ、海馬の容量が約2%増加したことが報告されています(Proceedings of the National Academy of Sciences)。これは、通常の加齢に伴う海馬の縮小を逆転させうる可能性を示すものとして、世界的な注目を集めました。

MCI(軽度認知障害)からの進行を抑制する可能性

認知症の前段階とされるMCI(軽度認知障害)の段階で運動介入を行うことで、認知症への進行を遅らせる、あるいは正常認知機能に回復できる可能性があるとする研究も増えています。日本老年医学会・日本認知症学会も、MCI患者への非薬物的介入として運動療法を推奨しており、記憶訓練や社会参加と組み合わせた複合介入の効果についても研究が進んでいます。「物忘れが気になり始めた」段階での早期介入が、将来の認知症予防において非常に重要な意味を持つと考えられています。

北海道特有の課題——冬季・積雪・過疎化と運動継続のリアル

北海道の気候が身体活動量に与える影響

北海道に暮らす私たちにとって、運動継続の最大の壁のひとつが「冬季の気候」です。11月から3月にかけての積雪・凍結した路面・低気温は、特に高齢者や慢性疾患をお持ちの方にとって屋外での歩行を困難にします。実際、北海道の冬は転倒・骨折リスクが著しく高まる時期でもあり、「冬はどうしても運動量が減ってしまう」と多くの患者さんが話されます。

一方で、冬季の運動不足が血糖値の上昇・体重増加・気分の低下(冬季うつ)・筋力の衰えにつながるという悪循環も生じやすい時期です。こうした北海道特有の事情を踏まえると、屋内でも継続できる運動メニューの確保が、健康維持において特別に重要な意味を持ちます。

過疎地・在宅高齢者の運動支援における課題

また、道内の過疎地域や、通院が困難な在宅高齢者の方にとっては、フィットネスクラブやリハビリ施設へのアクセス自体が困難な場合があります。当法人が展開する訪問診療・在宅医療の現場でも、「体を動かしたいが、どう動けばいいかわからない」「転ばないか不安で外に出られない」という声を多くいただきます。このような状況に対し、北海道オンラインクリニックを活用したオンラインでの運動指導・相談や、訪問時における個別の運動アドバイスなど、地域の実情に合わせたアプローチが求められています。

冬季でも取り組める運動の工夫

屋内でも実践しやすい運動として、椅子に座ったままできる「チェアエクササイズ」、室内での「踏み台昇降」、自重を使った「スクワット・壁押し運動」などが挙げられます。これらは特別な器具が不要で、狭い部屋でも取り組めるため、在宅高齢者の方にも取り入れやすい運動です。また、北海道ならではの冬のアクティビティとして、適切な防寒具と滑り止めを装備したうえでの「スノーウォーキング」「除雪(軽作業)」なども、意外と良い有酸素運動になり得ます。ただし、転倒・心血管イベントのリスクに十分注意したうえで、主治医と相談のうえ取り組むことが大切です。

安全に運動を始め、継続するための実践的アドバイス

運動を始める前に確認すること

慢性疾患・精神疾患をお持ちの方が運動療法を始める際には、いくつかの確認事項があります。まず、主治医への相談が最初のステップです。「運動したいのですが、どの程度なら安全ですか」と一言聞くだけで、適切なアドバイスが得られます。特に、心疾患・重度の高血圧・重症糖尿病(網膜症・腎症がある方)・整形外科的問題をお持ちの方は、医師の指示のもとで開始することが強く推奨されます。

次に、目標設定は「小さく・具体的に」することが継続の鍵です。「毎日1時間走る」という高すぎる目標を設定すると、達成できなかったときの挫折感がかえってやる気を削ぎます。「週3回、食後に10分間ウォーキングする」「テレビを見ながら足踏みを5分する」といった、今の生活に無理なく組み込める小さな目標から始めることをお勧めします。

運動強度の目安と「話しかけながら運動できる」チェック

中強度の有酸素運動の目安として、「会話はできるが、歌うのは少し苦しい」程度の強度が推奨されています。心拍数で言えば、最大心拍数(220−年齢)の50〜70%程度が目安です。ただし、心臓疾患や血圧の問題がある方は、医師の指示する心拍数の範囲を守ることが重要です。「ちょっと息が弾む程度の早歩き」が、多くの中高齢者の方にとって適切な運動強度の良い目安になります。

継続のコツ——「楽しさ」と「仲間」の力

医学的に確かなことのひとつが、「一人で継続するより、仲間と一緒に行う運動の方が長続きしやすい」という点です。地域の体操教室・ウォーキンググループ・介護予防の通いの場などへの参加は、運動の継続と社会的つながりの両方を同時に得られる、非常に効果的な手段です。また、「楽しいと感じる活動」を選ぶことも継続性に大きく影響します。苦痛に感じる運動を義務感だけで続けることは、長期的には続きにくいものです。

運動習慣を続けるためには、「運動した記録をつける」「カレンダーにシールを貼る」「歩数計・スマートウォッチを活用する」など、自分の行動を可視化する工夫も有効です。小さな成功体験の積み重ねが、やる気の好循環を生み出します。

医療法人鳳應会が考える「運動療法の地域への実装」と私たちにできること

治療と予防の橋渡しとしての運動療法

医療法人鳳應会は、「病を治す」から「人生を支え抜く」へという理念のもと、単に疾患を治療するだけでなく、患者さんが地域の中で豊かに生きるための包括的な支援を目指しています。その実践において、運動療法は薬物療法や精神療法と並ぶ重要な柱のひとつと位置づけています。

訪問診療の現場では、在宅の患者さんに対して「今の体の状態でどんな動きなら安全にできるか」を医師・看護師・ケアマネジャーが連携して評価し、個別に合わせた運動の提案を行うよう努めています。精神科・メンタルヘルス領域においても、抗うつ薬の処方だけでなく、生活習慣全体を見直すアプローチの中に運動療法を積極的に取り入れています。

産業保健・企業における運動推進への関わり

Z産業医事務所を通じた産業保健活動においても、働く世代のメンタルヘルス・生活習慣病予防の観点から、職域における運動促進の重要性を企業にお伝えしています。長時間の座位作業による「座りすぎ(セデンタリー行動)」は、糖尿病・心疾患・うつ病のリスクを高めることが示されており、「1時間に1度、数分間立ち上がって軽く動く」だけでもリスクを低減できる可能性があるとされています。

一人で悩まず、まずご相談ください

「運動を始めたいが、持病があるので不安」「うつ病があるが、薬以外に何かできることはないか」「親が認知症の前段階と言われたが、どうすればよいか」——このような疑問・不安を感じていらっしゃる方は、ぜひ当法人にご相談ください。精神科医・産業医|内科医・総合診療科医として、また地域医療に長年携わってきた立場から、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスをご提供いたします。

北海道オンラインクリニックでは、対面での受診が難しい方にもオンラインで精神科・メンタルヘルスの相談が可能です。一人でも多くの方が、運動を通じてより健やかな生活を取り戻すお手伝いができることを、私たちは心から願っています。

参考資料:WHO「身体活動と座位行動に関するガイドライン2020」/Lancet「Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report」/BMJ「Comparative efficacy of exercise therapies for depression: network meta-analysis」2023 /日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」/日本循環器学会「心血管疾患リハビリテーションガイドライン」

よくある質問

Q. うつ病の治療中でも運動をして大丈夫ですか?

A. うつ病の状態や重症度によって異なります。軽度から中等度のうつ病では、適度な運動が症状改善に有効とされており、抗うつ薬と組み合わせることで相乗効果が期待できると考えられています。ただし、重症のうつ病の急性期や、強い倦怠感・希死念慮がある時期には、まず十分な休養と専門医による薬物療法・精神療法が優先されます。「どの程度の運動なら始めてもよいか」について、必ず主治医にご相談のうえ、段階的に取り組むことをお勧めします。

Q. 認知症の予防には、どんな運動が効果的ですか?

A. 現時点では、ウォーキングや水中歩行などの有酸素運動が最もエビデンスの蓄積が多く、海馬の容量維持・BDNF増加などを通じた認知機能保護効果が期待されています。加えて、ダンスや武道・球技など認知課題を含む複合運動(デュアルタスク運動)は、有酸素運動単独よりも認知機能に対する効果が高い可能性があるとする研究もあります。週150分以上の中強度有酸素運動を基本としつつ、社会参加・知的活動・良好な睡眠・食事管理を組み合わせた総合的なアプローチが重要と考えられています。

Q. 持病(糖尿病・高血圧)があります。どんな運動から始めればよいですか?

A. まず主治医に相談して、運動を始めることの安全性と適切な強度を確認することが最初のステップです。一般的には、食後30分〜1時間後の「ゆっくりとした平地歩行(10〜15分)」から始め、体調に合わせて少しずつ時間と距離を延ばしていく方法が、多くの慢性疾患の方に適していると考えられています。糖尿病の方は運動中の低血糖に注意が必要なため、補食の準備や血糖値のセルフモニタリングについても医師・管理栄養士にご確認ください。

Q. 北海道の冬は外に出られません。屋内でできる運動を教えてください。

A. 屋内でも十分に有効な運動は多くあります。椅子に座りながら行う「チェアエクサイズ(足踏み・脚上げ・腕の回旋など)」、自重を使った「スクワット」「壁に手をついての腕立て伏せ」、段差を利用した「踏み台昇降」などが代表的です。テレビやラジオを聴きながら行うと継続しやすくなります。また、市販のゴムバンド(セラバンド)を使った筋力トレーニングは、少ないスペースで上肢・体幹・下肢を効率的に鍛えられるため、在宅高齢者の方にも広くお勧めしています。

Q. 運動が続かない場合、どうすればよいですか?

A. 「続かない」ことは多くの方が経験する普遍的な課題です。まず、目標設定が高すぎていないかを見直してみてください。「週5日30分」ではなく「週2回、5分だけ」からスタートし、達成できたら少しずつ増やしていく方法が、行動科学的に継続率が高いとされています。また、地域の体操教室やウォーキンググループなど「仲間と一緒に行う環境」に参加することも、継続性を大きく高めます。続けられない自分を責めるのではなく、「また始めれば良い」という柔軟な気持ちで取り組むことが大切です。

まとめ

本記事では、運動療法が慢性疾患・うつ病・認知症に与える効果について、国内外の医学的根拠とともに解説しました。要点を以下にまとめます。

  • 運動療法は薬物療法と組み合わせることで、糖尿病・高血圧・心疾患などの慢性疾患の管理に有意義な効果をもたらす可能性があるとされており、各専門学会のガイドラインでも推奨されています。
  • うつ病・不安症に対して、有酸素運動・筋力トレーニング・ヨガなどが症状改善に効果的である可能性が示されており、特に軽度から中等度のうつ病では抗うつ薬と同等以上の効果を持つ場合があると報告されています。
  • 認知症予防においても、定期的な有酸素運動が海馬の萎縮を防ぎBDNFを増加させることで、認知機能の保護に貢献する可能性があるとされており、早期からの継続的な取り組みが重要です。
  • 北海道の冬季・積雪・過疎化という特有の課題を踏まえ、屋内でできる運動や、オンライン相談を活用した支援が有効な手段となり得ます。
  • 運動療法を安全に始めるには、まず主治医への相談・小さな目標設定・仲間との継続が重要な三つの柱です。
  • 医療法人鳳應会では、訪問診療・精神科・産業保健・オンライン診療など多面的なアプローチで、運動療法を含む包括的な健康支援を行っています。

「運動を始めてみたいが、自分の状態でも大丈夫か不安」「うつや持病があって、どこから相談すればよいかわからない」——そのような方は、ぜひ医療法人鳳應会または北海道オンラインクリニックにお気軽にご相談ください。あなたの状況に合わせた、無理のない最初の一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。