「長生き」と「健やかに生きる」は、なぜ別の話なのか
厚生労働省が2023年に公表した最新データによれば、日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳と依然として世界最高水準を維持しています。しかしその一方で、健康上の問題で日常生活が制限されない期間を示す「健康寿命」は男性72.57歳、女性75.45歳にとどまり、平均寿命との差は男性で約8.5年、女性で約11.6年に達します。この差の期間、多くの方が要介護状態や慢性疾患による生活制限を抱えながら生きていることになります。
私が日々の診療の中で感じるのは、この「差の期間」を過ごしている患者さんとそのご家族の消耗感です。本人は「こんなはずじゃなかった」という思いを抱え、家族は仕事や育児と並行して介護という重荷を担います。個人の問題であると同時に、社会全体が支えなければならない課題でもあります。
北海道という地域特有の事情も見逃せません。広大な面積に人口が点在し、医療資源が集中しがちな札幌・小樽圏の外では、専門医へのアクセスが極めて限られています。こうした地理的条件が「受診の遅れ」「予防の軽視」「孤立死・孤独死」といった問題を生みやすく、健康寿命の格差を生む温床になっています。本稿では、まず国の政策を正確に把握したうえで、地域医療が果たすべき役割を具体的に考えていきます。
「健康日本21(第三次)」が描く2040年の日本
政策の全体像と数値目標
2024年度からスタートした「健康日本21(第三次)」は、2040年度を最終目標年として掲げた国民健康づくり運動の第三ステージです。第二次(2013〜2023年度)からの最大の変化は、単に「健康寿命を延ばす」という目標にとどまらず、「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」を基本理念に据えた点にあります。具体的には、2040年度までに健康寿命を男女ともに2019年比で1歳以上延伸することを目指しています。
政策の柱は大きく四つに整理されています。第一に「生活習慣病の発症予防・重症化予防」、第二に「社会環境の質の向上」、第三に「生活習慣の改善」、第四に「健康格差の縮小」です。特に第二・第四の柱が第三次で強調された点で、個人の行動変容だけに責任を帰着させるのではなく、社会の仕組みや環境そのものを変えることを国が明言した意義は大きいと考えています。
メンタルヘルスが正式に柱として組み込まれた意義
第三次から新たに加わった重要項目の一つが、こころの健康(メンタルヘルス)の明示的な位置づけです。これまでの政策では生活習慣病、つまり糖尿病・高血圧・がんなどの身体疾患対策が主軸でしたが、うつ病・不安障害・孤独孤立問題が健康寿命の短縮に与える影響が科学的に確認されるにつれ、精神的健康を切り離して語ることはできなくなりました。
英国の医学誌BMJに掲載された複数の研究は、慢性的な孤独感が死亡リスクを約26〜29%高めることを示しており、これは喫煙・肥満に匹敵する健康リスクです。精神科専門医として長年診療に携わってきた私の立場からは、この政策転換を心から歓迎するとともに、現場での実践にどう落とし込むかが問われていると感じています。
データヘルス計画と保険者機能の強化
国はNDB(ナショナルデータベース)やKDB(国保データベース)を活用した「データヘルス計画」を各保険者に義務付け、ハイリスク者の早期介入や特定健診・特定保健指導の実効性向上を図っています。2024年度からは第三期データヘルス計画が始動し、より個別化されたアプローチが求められています。こうしたデータ基盤の整備は、地域医療機関と行政・保険者が連携して健康管理を行う上での共通言語になりつつあります。
生活習慣病対策の最前線――予防から重症化防止まで
一次予防・二次予防・三次予防の全段階を地域で担う
健康寿命延伸の戦略を論じるとき、予防医学の三層構造を整理しておくことが有益です。一次予防とは疾病そのものの発症を防ぐ取り組みで、食事・運動・禁煙・節酒などの生活習慣改善がここに含まれます。二次予防は疾病を早期に発見・治療することで重症化を防ぐもので、健診・がん検診がその代表です。そして三次予防は、すでに疾患を抱えた方の機能低下・合併症・再発を防ぎ、QOL(生活の質)を維持することを指します。
地域の診療所・クリニックが担えるのは三次予防だけではありません。かかりつけ医として住民と長期的な関係を築くことで、生活習慣のアドバイス(一次予防)から健診結果のフォロー(二次予防)、そして治療後の維持管理(三次予防)まで一貫して関与できます。これが、大病院では代替しにくい「地域密着型医療」の本質的な価値です。
メタボリックシンドロームと特定健診の現状
2008年に導入された特定健診・特定保健指導制度は、メタボリックシンドロームの早期発見と生活習慣改善支援を目的としています。しかし2022年度のデータを見ると、特定健診の受診率は全体で56.5%にとどまり、特定保健指導の実施率は24.6%と低水準が続いています。北海道は受診率が全国平均をやや下回る傾向があり、地域の診療所が受診勧奨において積極的な役割を果たす必要性があります。
特に注意が必要なのは、健診を受けていても「異常なし」の一言で安心してしまい、境界域の数値を放置するケースです。空腹時血糖126mg/dL以上で糖尿病と診断されますが、100〜125mg/dLの「糖尿病予備群」は国内に約1,000万人いると推計されており、適切な介入なしにその多くが将来的に糖尿病・腎不全・心血管疾患へと移行していきます。予備群の段階でかかりつけ医が介入できる体制こそが、真の予防医療といえます。
がん対策と北海道の現状
がんは日本人の死因第一位であり、健康寿命短縮の大きな要因の一つです。国の「第4期がん対策推進基本計画」(2023〜2028年度)では、がん検診受診率50%以上の達成と精密検査受診率の向上が目標とされています。北海道は胃がん・肺がんの死亡率が全国と比較してやや高い水準にあり、喫煙率の高さや食生活の特徴(塩分摂取量など)が背景にあると考えられています。地域の医療機関が積極的に検診を勧め、精密検査へのスムーズな紹介経路を確保することが求められています。
在宅医療と介護の連携が健康寿命を支える仕組み
「最後まで住み慣れた場所で」を実現するために
内閣府の調査では、「最期を迎えたい場所」として約60%の人が自宅または在宅系サービスの利用を希望しています。しかし現実には、依然として60%以上の方が病院で亡くなっています。この「希望と現実のギャップ」を埋めるためには、在宅医療・介護の体制整備が不可欠です。
国は「地域包括ケアシステム」の構築を通じて、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する仕組みの整備を進めています。2025年問題(団塊の世代が後期高齢者となる年)を超え、2040年には高齢者人口がピークを迎えることが予測されており、在宅医療・介護連携の強化は急務といえます。
訪問診療が生み出す「予防の目」
在宅医療の重要な側面の一つは、患者さんの生活環境を直接観察できることです。外来診療では見えにくい「薬の飲み忘れ」「転倒リスクとなる室内環境」「食事内容の偏り」「家族関係の変化」「認知機能の微細な低下」といった情報が、訪問診療の場では自然と目に入ります。これらは、入院・救急搬送・介護度悪化の予兆であることが多く、早期に介入することで重大なイベントを防げる可能性があります。
当法人では訪問診療の実施において、医師だけでなく看護師・薬剤師・ケアマネジャーとの連携を重視しています。多職種がそれぞれの視点から患者さんを継続的に観察することで、単独の専門職では気づけなかった課題に早期対応できます。これは在宅の場だからこそ実現できる、三次予防の最も実践的な形です。
介護予防と「フレイル」への対応
近年、要介護状態に至る前段階として「フレイル(虚弱)」という概念が重視されています。フレイルとは、加齢により身体・精神・社会的機能が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態を指します。フレイルは可逆的な状態であり、適切な介入によって健康な状態に戻ることができると考えられているため、早期発見・早期介入が健康寿命延伸に直結します。
フレイルの評価には体重減少・疲労感・歩行速度低下・握力低下・身体活動量低下の5項目(Friedの基準)が広く用いられており、かかりつけ医の外来や訪問診療の場で比較的簡便にスクリーニングが可能です。栄養・運動・口腔ケア・社会参加の四つのアプローチが有効とされており、地域の医療・介護・行政が協力して取り組む必要があります。
メンタルヘルスが健康寿命に与える深刻な影響
うつ病と身体疾患の双方向的な関係
精神科専門医の立場から強調したいのは、こころの健康と身体の健康が決して切り離せないという事実です。うつ病は単に気分が落ち込む状態ではなく、免疫機能の低下・炎症反応の亢進・自律神経の乱れを通じて、心筋梗塞・脳卒中・糖尿病のリスクを有意に高めることが複数のメタアナリシスで示されています。逆に、慢性疾患を抱えている方はうつ病を発症するリスクが2〜3倍高まるとされており、身体とこころは双方向的に影響し合っています。
NEJMに掲載された研究では、心筋梗塞後のうつ病を適切に治療することが再入院率・死亡率の低下に有意に寄与することが示されています。このことは、内科・循環器科などの身体科とメンタルヘルス支援の連携が、健康寿命延伸において極めて重要であることを物語っています。
孤独・孤立が北海道の高齢者に与えるリスク
北海道、特に道内の中小都市や農漁村部では、高齢者の一人暮らし世帯の割合が高く、冬期間は外出が制限されることで社会的孤立が深刻になりやすい環境にあります。社会的孤立は認知機能の低下を加速させ、うつ状態・自殺リスクを高め、さらには医療機関へのアクセス低下(受診の遅れ)につながります。
当法人が運営する北海道オンラインクリニックでは、精神科のオンライン診療を通じて、医療機関への通院が困難な方々のメンタルヘルスケアを提供しています。スマートフォンやパソコン一台で専門医とつながれる環境は、冬の北海道において特に意義があると考えています。孤独を抱えた高齢者や、心の不調を抱えながら受診をためらう方々にとって、心理的ハードルが低いアクセス手段の存在が、健康寿命延伸の「最初の一歩」になり得ます。
職域におけるメンタルヘルスケアと産業医の役割
健康寿命を支えるためには、現役世代のメンタルヘルス対策も欠かせません。厚生労働省の調査では、仕事に強いストレスを感じている労働者の割合は約80%にのぼり、精神疾患による労災請求件数も増加傾向にあります。中小企業では産業医・保健師の配置が不十分なケースも多く、メンタルヘルス対策が後手に回りがちです。当法人グループのZ産業医事務所では、企業の規模や業種に応じた柔軟な産業保健支援を行い、労働者が心身ともに健康で長く働き続けられる環境づくりに貢献しています。
医療DXが切り開く健康寿命延伸の可能性
PHRと個人の健康データ活用
国は「医療DX推進本部」を設置し、電子カルテの標準化・マイナンバーカードを活用した医療情報連携・PHR(パーソナルヘルスレコード)の普及を推進しています。PHRとは、個人が自身の健康・医療・介護情報を継続的に記録・管理・活用できる仕組みであり、複数の医療機関を受診していても情報が共有され、より安全で効率的な医療が実現できると考えられています。
特に、複数の慢性疾患を抱える高齢者にとってPHRの恩恵は大きいといえます。主治医・専門医・薬剤師・ケアマネジャーが同じ情報基盤を共有することで、ポリファーマシー(多剤併用)の問題解消や、服薬アドヒアランス(治療への継続的な取り組み)の向上が期待されます。当法人グループのMedi Faceでは、精神科領域のDXに取り組んでおり、オンライン診療と電子記録の統合による継続的なケアの質向上を実践しています。
AI・ウェアラブルデバイスによる健康管理の変革
スマートウォッチや健康管理アプリの普及により、日常的なバイタルサイン(心拍数・血圧・血中酸素濃度・睡眠データなど)のモニタリングが一般化しつつあります。こうしたデータが医療機関と連携できれば、健診の年1回というスナップショットでは捉えにくい「普段の状態」を把握したうえでの診療が可能になります。
また、AIを用いた画像診断(胸部X線・眼底写真・皮膚病変など)の精度向上は、がんや眼科疾患の早期発見に貢献する可能性があります。Lancetをはじめとする権威ある医学誌でもAI診断の有効性に関するエビデンスが蓄積されており、近い将来、地域のクリニックでも当たり前のように活用される技術になると考えられます。
オンライン診療の戦略的活用
コロナ禍を経て急速に普及したオンライン診療は、健康寿命延伸においても重要な役割を果たすと考えています。特に、フォローアップ診療・精神科診療・生活習慣指導の領域では、対面診療と組み合わせたハイブリッド型の診療モデルが有効です。北海道のような広域医療圏では、専門医へのアクセス格差をオンライン診療が補う意義は特に大きいといえます。当法人の北海道オンラインクリニックがその一例であり、精神科専門医へのアクセスを道内全域に広げることを目指しています。
地域包括ケアシステムにおける多職種連携の実際
かかりつけ医機能の法制化と地域医療の変化
2023年5月に成立した「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」によって、かかりつけ医機能の強化が制度上明確に位置づけられました。具体的には、外来医療の機能情報の報告・公表が義務化され、継続的な健康管理・健康相談・他の医療機関への紹介といったかかりつけ機能の発揮が求められるようになっています。
この法改正は、健康寿命延伸において地域のかかりつけ医が担う役割をより明確にしたものといえます。一人の医師が患者さんの全身状態・生活背景・家族関係・価値観を長期にわたって把握し、適切な専門医・介護サービスへのコーディネーターとして機能する——この継続性こそが、大病院や専門科単独では提供できない価値です。
地域ケア会議と多職種チームアプローチ
地域包括ケアシステムの要となる「地域ケア会議」は、個別ケース(特に困難事例)を多職種で検討する場として全国の市区町村で開催されています。医師・看護師・ケアマネジャー・社会福祉士・歯科医師・薬剤師・理学療法士といった多様な専門職が一堂に会し、一人の患者さんの生活課題を複眼的に分析します。
こうした会議への医師の参加率は必ずしも高くないのが現状ですが、医師の医学的知見が加わることで会議の質が大きく向上することは経験上明らかです。当法人では地域ケア会議への積極的な参画を通じて、複数の専門職と情報を共有し、患者さんのより良い生活を支えるチームアプローチを実践しています。
社会的処方という新しいアプローチ
英国で注目を集め、日本でも広がりつつある「社会的処方(Social Prescribing)」は、孤独・孤立・生きがいの喪失といった社会的課題に対して、薬や医療処置ではなく地域のコミュニティ活動や社会的なつながりを「処方」するという発想です。ボランティア活動・趣味のサークル・傾聴ボランティア・図書館プログラムなどへのリンクワーカー(橋渡し役)による接続が、メンタルヘルスや孤独感の改善に効果的であることがエビデンスとして示されています。
この概念は、医療と地域社会が一体となって健康寿命を支えるという発想そのものであり、北海道の地域特性を踏まえた形での導入と実践が今後ますます重要になると考えています。
医療法人鳳應会が地域で取り組む健康寿命延伸への実践
複合体として「予防からみとりまで」を支える体制
医療法人鳳應会は「病を治す」から「人生を支え抜く」という理念のもと、精神科・訪問診療・在宅医療・介護・産業保健・美容医療・医療DXという多領域を一体的に展開してきました。この複合体としての強みは、患者さんの状態やライフステージが変化するなかでも、同じ法人グループの中でシームレスに支援の手を届けられる点にあります。
たとえば、産業医として現役世代の健康管理に関与した方が、年齢を重ねてかかりつけ医としての訪問診療につながり、必要に応じて精神科サポートやオンライン診療も活用しながら、最期は住み慣れた自宅で穏やかに過ごす——そうした「人生を通じた医療」のモデルを、私たちは札幌・小樽の地域で実現しようとしています。
北海道の地域特性に根ざした予防医療の展開
北海道の食文化・気候・生活様式は、健康寿命に影響を与える特有のリスク因子を含んでいます。塩分摂取量の多い食事習慣・冬期間の身体活動量の減少・喫煙率の高さ・精神科専門医への地理的アクセスの偏在——これらは国の統一的な政策だけでは対応しきれない、地域固有の課題です。
当法人では、こうした地域特性を踏まえた健康教育・啓発活動・生活習慣指導を診療の場で継続して行うとともに、行政・企業・学校・地域包括支援センターとの連携を通じて、医療機関の外でも予防的な関与ができる体制の構築を進めています。一人でも多くの方が健康な状態で長く地域で暮らし続けられるよう、私たちは専門職としての責任を果たし続けます。
健康への不安を一人で抱えないために
「最近何となく体の調子が悪い」「物忘れが気になる」「気分が落ち込んで受診を迷っている」——そういった段階でこそ、医療機関に相談していただくことが、健康寿命を守る最も確実な方法の一つです。受診するほどではないかもしれない、という遠慮は、どうか脇に置いてください。私たちは診断・治療だけでなく、あなたの健康の不安に寄り添い、必要な支援へつなぐための存在でもあります。
医療法人鳳應会では、訪問診療・精神科・オンライン診療・産業医など多様な窓口を通じて、札幌・小樽を中心とした北海道の皆さまの健康を総合的にサポートしています。健康上の疑問や不安がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 健康寿命と平均寿命の違いを教えてください。
A. 平均寿命はその年に生まれた人が何歳まで生きられるかを示す指標です。一方、健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されない期間」を表します。日本では現在、両者の差が男性で約8.5年、女性で約11.6年あり、この差の期間は慢性疾患や要介護状態で生活していることになります。健康寿命延伸とは、この差を縮め、元気でいられる期間を長くすることを目指す取り組みです。
Q. 「健康日本21(第三次)」で特に新しく加わった取り組みは何ですか?
A. 第三次(2024〜2040年度)では、これまでの生活習慣病対策に加えて、「こころの健康(メンタルヘルス)」が正式な柱として位置づけられたことが大きな変化です。また、「社会環境の質の向上」という視点から、個人の努力だけに頼るのではなく、食環境・運動環境・地域のつながりといった社会全体の仕組みを改善することが明確に打ち出されました。健康格差の縮小も重要な目標として掲げられています。
Q. フレイルとはどのような状態で、どうすれば予防できますか?
A. フレイルとは、加齢に伴い体力や気力が衰え、健康障害が起きやすくなった虚弱な状態のことです。体重の減少・疲れやすさ・歩行速度の低下・握力の低下・活動量の減少などがサインとして知られています。フレイルは適切な介入によって健康な状態に戻れる可能性があるとされており、栄養バランスの改善(とくんにたんぱく質摂取)・有酸素運動と筋力トレーニング・口腔ケア・社会的なつながりの維持が有効と考えられています。かかりつけ医や地域包括支援センターへの早めの相談をおすすめします。
Q. メンタルヘルスの不調が健康寿命を短くするというのは本当ですか?
A. 科学的なエビデンスとして確認されています。うつ病は免疫機能の低下や炎症の促進を通じて、心筋梗塞・脳卒中・糖尿病のリスクを高めることが示されています。また慢性的な孤独感は喫煙に匹敵する健康リスクをもたらすとする研究もあります。こころの不調は「気の持ちよう」ではなく、身体の健康にも直結する医学的な問題です。気になる症状があれば、精神科・心療内科への早めの受診をご検討ください。
Q. 北海道でも訪問診療やオンライン診療を利用できますか?
A. はい、利用できます。医療法人鳳應会では、札幌・小樽を中心に訪問診療を行っており、自宅や施設での定期的な医療的管理が可能です。また、グループの北海道オンラインクリニックでは、精神科のオンライン診療を北海道全域で提供しており、スマートフォンやパソコンを通じて専門医に相談できます。通院が難しい方、冬期間の外出が困難な方、遠方にお住まいの方もぜひご活用ください。
まとめ
- 日本人の平均寿命と健康寿命の差は男性約8.5年・女性約11.6年であり、この差を縮めることが「健康寿命延伸」の本質です。
- 「健康日本21(第三次)」(2024〜2040年度)は、生活習慣病対策に加えてメンタルヘルス・社会環境・健康格差縮小を柱に据えた包括的な国家戦略です。
- 予防医療は一次・二次・三次予防の全段階にわたり、かかりつけ医を中心とした地域医療がその最前線を担います。フレイルの早期発見・介入も重要な課題です。
- こころの健康は身体の健康と不可分であり、孤独・孤立・うつ病などへの対応が健康寿命延伸に直結します。精神科専門医・産業医・オンライン診療などを積極的に活用することが有効です。
- 医療DX(オンライン診療・PHR・AI診断)は、北海道のような広域医療圏における医療アクセス格差の解消と、より個別化された健康管理の実現を可能にすると考えられています。
- 医療法人鳳應会は、訪問診療・精神科・オンライン診療・産業保健・介護を一体的に展開し、「予防からみとりまで」を地域で支える複合体として、皆さまの健康寿命延伸に貢献します。
健康上の疑問・不安をお持ちの方、訪問診療やオンライン診療にご興味のある方は、医療法人鳳應会の各窓口へお気軽にご連絡ください。北海道の地域医療を守る私たちが、あなたとあなたの大切な方の「健やかな人生」を全力でお支えします。
【主な参考資料】厚生労働省「健康日本21(第三次)」(2023年)/厚生労働省「令和4年簡易生命表」/厚生労働省「特定健診・特定保健指導の実施状況(令和4年度)」/内閣府「令和5年版高齢社会白書」/Holt-Lunstad J, et al. Loneliness and Social Isolation as Risk Factors for Mortality. Perspectives on Psychological Science. 2015./Lichtman JH, et al. Depression and Coronary Heart Disease. Circulation. 2008.