なぜ今、医療法人のガバナンスが問われているのか
「病院が突然閉鎖した」「理事長の不正経理が発覚した」——そうしたニュースを耳にするたびに、地域の患者さんや医療従事者が受ける衝撃の大きさを、私は医師として、また医療法人の理事長として強く感じています。医療機関は単なるビジネスの場ではなく、人々の命と健康を支える社会インフラです。その組織統治が機能していなければ、どれほど優れた医師や看護師がいても、持続的な地域医療の提供は叶いません。
厚生労働省は2015年の医療法改正以降、医療法人のガバナンス強化を政策の柱の一つとして位置づけています。特定医療法人や社会医療法人だけでなく、中小規模の一般医療法人においても、理事会・監事・社員総会という三つの機関が適切に機能しているかどうかが、医療の質と経営の健全性を左右すると考えられています。北海道・札幌のような広域分散型の医療圏では、中核的な医療機関が経営危機に陥ると、その地域全体の医療提供体制が揺らぐリスクがあります。
医療法人鳳應会では、訪問診療・精神科・在宅介護・産業保健・オンライン診療など複数の機能を一体的に運営しています。多岐にわたる事業を安定して継続するためには、組織としての意思決定プロセスが透明かつ適正であることが不可欠です。本記事では、ガバナンスの基本概念から具体的な実践方法まで、できる限り平易に解説していきます。
医療法人のガバナンスとは、理事会・監事・社員総会という三機関が相互に牽制し合いながら、法人の適正な運営を確保する仕組みです。特定の個人や一族に権限が集中することを防ぎ、地域医療の継続性を守る「安全装置」として機能します。
医療法人ガバナンスの法的基盤と近年の改正動向
医療法が定める組織機関の骨格
医療法人の組織統治は、主に医療法(昭和23年法律第205号)によって規律されています。医療法第46条以降に理事・理事会・監事に関する規定が置かれており、これらは会社法における取締役会・監査役制度に相当する機能を持ちます。医療法人は株式会社とは異なり、非営利性を前提とした特殊な法人格であるため、営利法人以上に公益性と透明性が求められます。
法人の種類によって機関設計の要件は異なります。一般の医療法人(持分あり・なしを問わず)では理事3名以上・監事1名以上が必要であり、社会医療法人や特定医療法人ではさらに厳格な要件が課されています。理事会は法人の業務執行に関する意思決定機関、監事は業務監査と会計監査を担う独立機関、そして社員総会は法人の最高意思決定機関として位置づけられています。
2015年医療法改正が変えた点
2015年の医療法改正(平成27年法律第74号)は、医療法人のガバナンス強化において画期的な転換点となりました。主な改正点として、役員報酬の決定手続きの整備、外部役員(理事・監事)の選任努力義務、事業報告書等の作成・届出義務の拡充、そして親族等への優遇行為の禁止規定の明確化などが挙げられます。
この改正以降、都道府県による医療法人への指導・監査も強化され、法令違反や不適切な運営が発覚した場合には業務停止命令や解散命令といった行政処分が下されるケースも増加しています。北海道においても道庁の医療法人担当部署による実地検査が定期的に行われており、書類の整備状況だけでなく、実質的なガバナンス機能の有無が確認されるようになっています。
今後想定される規制強化の方向性
厚生労働省の「医療法人の経営情報のデータベース化」に関する検討や、医療機関の財務情報の開示拡充を求める動きは、今後もガバナンス強化の方向で進むと考えられます。デジタル化・AI活用が進む医療DXの文脈においても、情報セキュリティガバナンスや個人情報保護体制の整備が理事会の重要議題として浮上しています。先を見越した組織づくりが、今まさに求められていると言えるでしょう。
理事会の役割と機能不全が引き起こすリスク
理事会が担うべき意思決定の範囲
理事会は、医療法人の業務執行に関する重要事項を審議・決定する機関です。具体的には、予算・決算の承認、重要な契約の締結、施設の新設・廃止、借入金の決定、内部規程の改廃など、法人の存続や事業方針に直結する事項が議題となります。また、理事長の業務執行を監督する役割も担っており、理事長一人の独断専行を防ぐ「集団的意思決定」の仕組みとして機能することが期待されています。
医療法上、理事会は少なくとも年2回以上開催することが望ましいとされており、重要事項については必ず理事会決議を経ることが求められます。議事録の作成・保管も法的義務であり、開催日時・出席者・議題・審議内容・決議の結果を正確に記録しなければなりません。この議事録は行政の監査時に必ず確認される重要書類です。
形骸化した理事会が招く危機
現実には、「理事全員が理事長の親族・知人で構成されており、実質的な審議が行われない」「議事録は後日作成され、署名だけを集めている」といった形骸化した理事会が存在することも否定できません。このような状態では、理事長による不正支出や特定業者との癒着、医療機器の過大投資などの問題が内部からチェックされないまま拡大し、最終的に法人の経営破綻や行政処分につながる可能性があります。
厚生労働省の「医療法人の不正事例分析」によれば、経営が悪化または不正が発覚した医療法人の多くで、理事会の実質的な審議が機能していなかったことが確認されています。特定の個人への権限集中は「ガバナンス上の最大のリスク要因」と位置づけられており、外部の視点を持つ独立性の高い理事を選任することが有効な対策とされています。
実効性ある理事会運営のポイント
理事会を形式的なものにしないためには、まず議題の事前配布と十分な審議時間の確保が必要です。また、理事一人ひとりが法人の財務状況・事業計画・リスク情報を正確に把握できるよう、事務局からの情報提供体制を整えることも重要です。当法人では、理事会資料を開催10日前までに配布し、各理事が事前に疑問点を整理した上で審議に臨める環境を整えています。こうした「準備のある理事会」が、実質的なガバナンス機能の基盤となります。
監事の独立性と監査機能の実質化
監事に求められる独立性とは何か
監事は、理事会や理事長の業務執行を外部から監視・監査する役割を担います。医療法では、監事は理事・職員を兼務できないとされており、この独立性こそが監事の機能の核心です。監事が理事長と親しい関係にある場合や、法人から給与を受ける立場にある場合には、独立した監査が実質的に困難になります。そのため、できる限り法人と利害関係のない公認会計士・税理士・弁護士など専門家を監事に選任することが望ましいと考えられています。
監事の主な権限として、理事会への出席権・意見陳述権、業務・財産の調査権、不正行為発見時の社員総会への報告義務などが医療法に明記されています。これらは単なる「形式的な権限」ではなく、実際に行使されることで初めて意味を持ちます。定期的な往査(現場視察)や帳票の確認、職員へのヒアリングなど、能動的な監査活動が監事に期待されています。
会計監査と業務監査の両輪
監事の監査機能は大きく「業務監査」と「会計監査」の二つに分けられます。業務監査とは、理事の業務執行が法令・定款・各種内部規程に適合しているかを確認することであり、会計監査とは、財務諸表や会計帳簿が適正に作成されているかを検証することです。特に会計監査については、医療法人が非営利法人であるがゆえに、補助金・税制優遇・公的保険の適用などに絡む不適切な会計処理が生じやすい領域であり、専門的知識を持つ監事の関与が不可欠です。
規模の大きな医療法人では、外部の監査法人や公認会計士が会計監査を担当するケースも増えています。2022年度以降、社会医療法人の会計監査人設置が一定規模以上で義務化されており、一般医療法人においても会計の透明性確保が強く求められる方向にあります。当法人でも税理士・公認会計士による定期的な財務レビューを実施し、監事との連携を図っています。
監事報告と理事会への連携
監事は監査の結果を監査報告書としてまとめ、社員総会に提出する義務があります。この報告書は単なる形式文書ではなく、理事会の運営や財務状況に関する客観的な評価を含む重要な文書です。監事が「問題なし」という形式的な報告に終始するのではなく、具体的な改善提案や懸念事項を盛り込むことで、法人全体のガバナンス水準が引き上げられます。監事と理事会・事務局との定期的なコミュニケーションも、実効性ある監査体制の構築に欠かせません。
社員総会の位置づけと運営上の注意点
社員総会は医療法人の最高意思決定機関
社員総会は、医療法人の最高意思決定機関として位置づけられています。定款の変更、理事・監事の選任・解任、事業報告書・決算書類の承認、解散・合併の決議など、法人の根幹に関わる重要事項が社員総会の決議を要します。一般の株式会社における株主総会に相当する機関ですが、医療法人は非営利であるため、社員は経済的利益ではなく「法人の使命を共に担う構成員」としての性格を持ちます。
医療法人の社員は、必ずしも医師や職員に限られるわけではありませんが、実態として理事長・理事・関係者が社員を兼ねているケースが多く見られます。重要なのは、社員が形式的な名義人にとどまらず、法人の意思決定に実質的に関与できる環境を整えることです。社員総会における審議の形骸化は、理事会の形骸化と同様、ガバナンス崩壊の温床となります。
定時社員総会・臨時社員総会の適切な運営
社員総会には毎年定時に開催する「定時社員総会」と、必要に応じて開催する「臨時社員総会」があります。定時社員総会は、毎事業年度終了後一定期間内に開催し、事業報告・決算承認などを行うことが通例です。招集手続き・議題の告知・議事録の作成・保管については、定款の規定に従うとともに、医療法の要件を満たすことが必要です。
特に注意が必要なのは、議決権の行使方法と定足数の確認です。社員が少数の場合でも適切な手続きを踏まなければ、決議の効力が争われるリスクがあります。また、重要事項に関する決議では、特別決議(定款所定の議決要件)が必要となる場合があり、日頃からの定款内容の確認と事務局の法的知識向上が求められます。当法人では行政書士きくち事務所と連携し、定款の解釈・議事録の整備について専門的なサポートを受けています。
社員と理事の関係性管理
社員総会が実質的な牽制機能を発揮するためには、社員と理事(特に理事長)の関係が適切に管理されている必要があります。理事長が社員の大多数を実質的に支配している場合、社員総会は「追認機関」にすぎなくなり、ガバナンスの観点から問題があります。社員の多様性を確保し、法人外部の視点を持つ社員を加えることが、健全な社員総会運営の一つの方法と考えられています。
内部統制・コンプライアンス体制の構築
内部統制とは何か——医療法人における意義
内部統制とは、組織の目標達成を合理的に保証するために、業務の有効性・効率性、財務報告の信頼性、法令遵守(コンプライアンス)、資産の保全を図るための仕組みの総称です。企業でいえば内部統制報告制度(J-SOX)が有名ですが、医療法人においても同様の考え方を取り入れることが、健全な経営の基盤となります。
医療機関特有のリスクとして、診療報酬の不正請求・水増し請求(いわゆるレセプト詐欺)、医薬品・医療材料の横領、患者個人情報の漏洩、ハラスメントや労働法違反などが挙げられます。これらは単に法人内部の問題にとどまらず、保険者や患者、そして地域社会への重大な背信行為となります。内部統制の仕組みを整備することで、こうしたリスクを早期に発見・是正できる体制を構築することが重要です。
コンプライアンス委員会とリスク管理体制
ガバナンス強化の実践的な手段の一つとして、コンプライアンス委員会の設置が挙げられます。理事・職員・外部専門家で構成されるこの委員会が定期的に開催され、法令改正情報の共有、内部監査結果の報告、改善策の検討などを行うことで、組織全体のコンプライアンス意識が高まります。また、職員が不正や違法行為を上司への報告を経ずに直接委員会や外部窓口に通報できる「内部通報制度」の整備も有効です。
2022年施行の公益通報者保護法改正により、一定規模以上の事業者には内部通報制度の整備が義務化されています。医療法人も対象となる場合があり、制度の有無と機能状況を確認しておくことが必要です。通報者が不利益を受けない文化づくりと制度の周知徹底が、実効性ある通報制度の鍵となります。
個人情報保護とサイバーセキュリティへの対応
医療DXが急速に進展する現代において、個人情報保護法・医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(厚生労働省)への対応は、もはやガバナンスの中核的課題です。電子カルテ・オンライン診療・ウェアラブルデバイスなどのデジタルツールを活用する医療機関ほど、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクにさらされています。理事会がこれらのリスクを適切に認識し、セキュリティ対策への投資を承認・監督する体制が求められます。
医療機関を標的としたランサムウェア攻撃が国内で相次いでいます。理事会レベルでのサイバーセキュリティリスクの把握と、ITガバナンスに関する方針の策定が急務です。有事の際の事業継続計画(BCP)も含めて検討することをお勧めします。
地域医療を守るガバナンス——北海道の文脈から考える
北海道の医療提供体制が抱える固有の課題
北海道は全国最大の面積を持ち、人口密度の低い過疎地域から政令指定都市の札幌まで、医療環境が著しく異なる多様な地域が混在しています。医師不足・高齢化・交通アクセスの課題が重なる地域では、一つの医療法人が地域の医療・介護機能を一手に担っているケースも珍しくありません。そのような地域では、法人のガバナンス不全が即座に住民の医療アクセス喪失につながるという、深刻なリスクがあります。
また、北海道特有の気候条件(冬季の豪雪・低温)は、医療機関の事業継続計画(BCP)においても重要な考慮要素です。理事会が災害・気候リスクへの対応方針を策定・承認し、日常的な訓練と設備投資を経営判断として実行できる体制を整えることが、地域医療を守るガバナンスの実践と言えます。
小規模医療法人こそガバナンスが重要な理由
「ガバナンスは大病院や社会医療法人の話であり、中小規模の法人には関係ない」と考える経営者も少なくありませんが、これは大きな誤解です。むしろ小規模法人ほど、理事長個人への権力集中が起きやすく、内部牽制の機能が脆弱になりがちです。人員が少ない分、一人の判断ミスや不正が法人全体に与えるダメージは相対的に大きく、経営危機に陥るスピードも速いと考えられます。
「法令の最低要件を満たしていれば十分」という発想ではなく、「なぜガバナンスが必要なのか」という本質的な問いを経営者・理事全員が共有することが、持続可能な地域医療の基盤となります。定款の整備・理事会議事録の充実・監事との定期的な情報交換——こうした地道な積み重ねが、地域住民からの信頼を育てます。
事業承継とガバナンスの連動
北海道の医療法人では、創業理事長の高齢化に伴う事業承継の問題も喫緊の課題となっています。後継者の選定・育成・権限移譲は、単なる「身内の問題」ではなく、法人の組織的な意思決定として理事会で議論・承認されるべき事項です。後継者が急に変わることで経営方針が大きく転換したり、職員の離職が相次いだりするリスクを防ぐためにも、事業承継計画をガバナンス文書の一部として整備しておくことが望まれます。
参考:厚生労働省「医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスの強化に関する検討会」報告書(令和3年)/日本医師会「医療機関の管理運営に関するガイドライン」/医療法(昭和23年法律第205号)第46条〜第50条
医療法人鳳應会の取り組みと読者の皆さんへのメッセージ
鳳應会が実践するガバナンスの具体例
医療法人鳳應会では、理事会の実効性を高めるために複数の取り組みを継続しています。まず、理事会の開催頻度を法令上の最低水準以上とし、毎回の議題に財務報告・コンプライアンス情報・各部門のリスク情報を必ず含めるようにしています。理事長である私(近澤 徹)が議題を独断で設定するのではなく、事務局・各部門長からの情報集約を経てアジェンダを策定するプロセスを制度化しています。
また、グループ組織(Medi Face・FRAISE CLINIC・Z産業医事務所・北海道オンラインクリニック等)との連携においては、各組織の独立性を保ちながらも、医療法人本体のガバナンス基準に準拠した内部規程と報告体制を整えています。行政書士きくち事務所との連携により、定款・議事録・届出書類の法的整合性を継続的に確認しており、法令改正への対応も迅速に行えるよう体制を整えています。
ガバナンス強化は「義務」ではなく「信頼の基盤」
ガバナンスの話をすると、「法令を守るための面倒な手続き」として捉えられることがあります。しかし私は、ガバナンスの本質は「地域の患者さんや職員、社会全体への約束を守り続けるための仕組みづくり」だと考えています。透明性のある意思決定プロセス、独立した監査機能、実質的な社員総会の運営——これらは義務ではなく、医療法人として地域に根ざし続けるための信頼の基盤です。
北海道・札幌において「病を治す」から「人生を支え抜く」医療を実現するためには、長期にわたる安定した経営基盤が不可欠です。そしてその経営基盤を支えるのが、しっかりとしたガバナンスです。医療機関の経営に関わる方々が「ガバナンスを正しく理解し、実践する」ことが、結果として地域の患者さん・ご家族・職員全員のQOL向上につながると、私は確信しています。
医療法人経営に不安を感じる方へ
「理事会の運営が適切かどうか自信がない」「監事の選任をどうすればよいかわからない」「定款の内容が古く、実態と合っていない気がする」——そうした不安や疑問を抱える医療法人の関係者の方は、ぜひ専門家への相談を検討してください。当法人グループでは、行政書士きくち事務所を通じた医療法務のサポートや、経営コンサルティング的な視点からのアドバイスも提供できる体制を整えています。一人で抱え込まず、専門的な知見を積極的に活用することをお勧めします。
よくある質問
Q. 医療法人の理事は何名必要ですか?また、理事長も理事の人数に含まれますか?
A. 医療法上、医療法人には理事を3名以上置くことが必要です(医療法第46条の3)。理事長も理事の一人として人数に含まれます。なお、都道府県知事の認可を受けた場合には理事1名とすることができる特例もありますが、ガバナンスの観点からは複数の理事による合議制を維持することが望ましいと考えられています。理事の資格要件は定款や法令によって定められており、医師・歯科医師以外の者が理事になれる場合もありますが、理事長は原則として医師または歯科医師でなければなりません。
Q. 監事は必ず外部の専門家でなければなりませんか?
A. 法律上、監事が必ず外部専門家でなければならないという明文規定はありませんが、監事は理事・職員と兼務できないとされています(医療法第46条の3の3)。実務上は、法人内部の関係者を監事にすると独立性が損なわれ、実質的な監査が機能しにくくなります。公認会計士・税理士・弁護士など法人と利害関係のない専門家を選任することが、ガバナンスの実効性を高める上で有効と考えられています。都道府県の指導でも外部監事の選任が推奨されるケースが増えています。
Q. 理事会の議事録はどのように作成・保管すればよいですか?
A. 理事会議事録には、開催日時・場所・出席者氏名・議題・審議内容(賛否の意見も含む)・決議の結果を正確に記載する必要があります。議事録は原則として全出席者が署名または記名押印し、法人の主たる事務所に保管します。保管期間は法令上明記されていない部分もありますが、実務上は少なくとも10年以上の保管が推奨されます。後日の紛争や行政監査に備え、デジタルバックアップを含む適切な管理体制を整えることをお勧めします。
Q. 社員総会を開催しなかった場合、どのような問題が生じますか?
A. 定款で定めた時期に定時社員総会を開催しなかった場合、医療法人の適正な運営に関する都道府県への報告義務に違反する可能性があります。また、社員総会の決議を必要とする事項(決算承認・理事選任など)を適切な手続きなく処理した場合、その決議の効力が法的に問題となるリスクがあります。行政監査の際に社員総会の未開催が発覚すると、改善指導や報告徴収の対象となる場合もあります。毎年度の開催スケジュールをあらかじめ計画しておくことが重要です。
Q. 医療法人のガバナンスについて相談できる専門家はどこに問い合わせればよいですか?
A. 医療法人のガバナンスに関する相談窓口としては、主に都道府県の医療法人担当部署、行政書士・弁護士・公認会計士などの専門家事務所、地区医師会の経営相談窓口などが挙げられます。医療法人の定款・議事録・届出書類の整備については行政書士、財務・会計については公認会計士・税理士、法的トラブルについては弁護士への相談が適切です。医療法人鳳應会グループでは行政書士きくち事務所が医療法務に対応しており、初期相談についてはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
本記事では、医療法人ガバナンスの強化に向けて、理事会・監事・社員総会それぞれの役割と責任、そして実践的な取り組みについて解説しました。要点を以下にまとめます。
- 理事会は医療法人の業務執行に関する最重要意思決定機関であり、形骸化を防ぎ、実質的な審議を行う体制の整備が不可欠です。
- 監事は業務監査・会計監査を担う独立機関であり、理事・職員との兼務禁止の趣旨を踏まえ、できる限り外部専門家を選任することが望ましいとされています。
- 社員総会は法人の最高意思決定機関として、定款変更・決算承認・役員選任などの重要事項を適正な手続きで決議する必要があります。
- 内部統制・コンプライアンス体制の整備(内部通報制度・コンプライアンス委員会・サイバーセキュリティ対応など)が、現代の医療法人ガバナンスにおいて不可欠な要素となっています。
- 北海道・札幌のような広域医療圏では、医療法人のガバナンス不全が地域医療の崩壊に直結するリスクがあり、小規模法人こそガバナンスの実質化が重要です。
- 事業承継・医療DX・気候・災害リスクへの対応も含め、理事会が中長期的な視点で法人経営を監督・牽制する体制を整えることが、持続可能な地域医療の基盤となります。
医療法人のガバナンスについてご不安やご疑問のある方、定款の見直しや理事会運営の改善をお考えの方は、医療法人鳳應会グループ・行政書士きくち事務所へぜひご相談ください。地域の皆さまの「人生を支え抜く医療」を実現するために、組織の健全な運営を共に考え、サポートしてまいります。