医療DXの波は北海道にも届いている——しかし現場の声は複雑です
「電子カルテを入れたいけれど、ハッキングされたら怖い」「オンライン診療を始めたいが、患者さんの個人情報が漏れないか心配だ」「補助金があるとは聞いたが、結局自己負担がいくらになるのかわからない」——当法人が地域の医師仲間や連携先のクリニック・病院と意見を交わすとき、こうした声を繰り返し耳にします。
厚生労働省が推進する「医療DX令和ビジョン2030」や、マイナンバーカードを基盤とした「オンライン資格確認」の全面普及が進む中、医療機関のデジタル化は選択肢ではなく社会的な要請になりつつあります。しかし北海道の医療環境は、広大な地理的条件、高齢化率の高さ、そして中小規模のクリニックが地域医療を支えるという構造上の特性があり、一律に「デジタル化すればよい」とは言い切れない複雑さがあります。
本記事では、医療機関がDXを推進する際に直面する三つの主要課題——セキュリティリスク・プライバシー保護・導入コスト——を軸に、その実態と対処の考え方を整理します。そして、医療法人鳳應会が実践してきた取り組みも交えながら、患者さんにとっても医療者にとっても安心できるDXの道筋を示したいと思います。
本記事でいう「医療DX」とは、電子カルテ・オンライン診療・遠隔モニタリング・AI診断支援・クラウド型医療情報システムなど、デジタル技術を活用して医療サービスの質・効率・アクセス性を高める取り組み全般を指します。
医療機関を狙うサイバー攻撃の実態——脅威は確実に増大しています
ランサムウェア被害が相次ぐ医療現場
2021年10月に発生した大阪府の公立病院へのランサムウェア攻撃は、電子カルテシステムが約2か月にわたって使用不能となり、外来診療や手術が大幅に制限されるという深刻な事態を招きました。この事例は医療機関のITセキュリティに対する認識を大きく変えるきっかけとなりました。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」においても、ランサムウェアによる被害は近年連続して上位にランクインしており、医療・福祉分野が特に標的にされやすいことが指摘されています。
なぜ医療機関が狙われやすいのでしょうか。その理由はいくつか考えられます。まず、電子カルテや患者情報は闇市場での転売価値が高く、金銭目的の攻撃者にとって魅力的なターゲットです。次に、医療機関はシステムが停止すると患者の命に直結するため、身代金要求に応じやすいと判断される傾向があります。さらに、IT専門人材が不足しており、セキュリティ対策が後回しにされがちな実情もあります。
医療情報システムの安全管理ガイドライン
厚生労働省は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を定期的に改訂しており、2023年5月に公表された第6.0版では、クラウドサービス利用時のリスク管理やゼロトラストセキュリティの考え方が新たに盛り込まれました。このガイドラインでは、医療情報システムを導入・運用するすべての医療機関に対して、リスクアセスメントの実施、アクセス制御の徹底、インシデント発生時の対応手順の整備などを求めています。
ガイドラインの内容は詳細で実践的ですが、中小規模のクリニックにとっては「何から手をつければよいか」と途方に暮れてしまうことも少なくありません。当法人でも、グループ内の複数施設のITセキュリティ体制を整備する過程で、専門知識を持つ外部パートナーとの連携が不可欠であることを実感しています。
医療DX時代のセキュリティ対策の基本方針
専門家の間では、現代のサイバー脅威に対応するためには「境界型セキュリティ」(ファイアウォールで内外を分ける従来の考え方)から、「ゼロトラストセキュリティ」(すべてのアクセスを信頼せず、都度認証・検証する考え方)への転換が重要とされています。具体的には、多要素認証の導入、端末管理ソフト(MDM)の活用、定期的なセキュリティ教育の実施、そしてインシデント発生を想定したBCP(事業継続計画)の策定が有効と考えられています。
セキュリティ対策は「一度整備すれば終わり」ではありません。攻撃手法は日々進化しており、継続的なアップデートと職員への定期的な教育訓練が求められます。
患者の個人情報・プライバシー保護——デジタル化で高まるリスクをどう管理するか
医療情報は最も高い保護が必要なデータです
患者さんの氏名・生年月日・住所はもちろん、病名・処方内容・検査結果・精神科の受診歴——これらはいずれも「要配慮個人情報」として個人情報保護法で特別に保護されています。特に精神科領域においては、診療情報の漏洩が患者さんの就労・保険・人間関係に深刻な影響を与えうるため、プライバシー保護への感受性は通常以上に高くあるべきです。
医療DXが進むほど、患者情報はクラウド上に集約され、複数の医療機関・調剤薬局・介護事業者などとネットワークを通じて共有される機会が増えます。こうした情報の流通は医療の連携と効率化をもたらす一方で、「誰がいつ何の目的で自分の医療情報にアクセスしたのか」という透明性の確保が求められます。
同意取得と情報管理の実務
個人情報保護委員会と厚生労働省が共同で策定した「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(2022年改訂版)では、要配慮個人情報の取得には原則として本人の同意が必要であることが明記されています。デジタル化によって情報の利活用範囲が広がる中で、患者さんが「自分の情報がどこに、どのように使われているのか」を理解した上で同意できる仕組み——インフォームド・コンセントのデジタル版とも言える「インフォームド・デジタルコンセント」——の整備が重要な課題となっています。
当法人が運営する北海道オンラインクリニックでは、オンライン診療の開始前に診療情報の取り扱い・録画の有無・第三者との共有範囲について患者さんに丁寧に説明し、書面または電子的な同意を取得するプロセスを標準化しています。このような丁寧な手続きは時間を要しますが、患者さんとの信頼関係を築く上で欠かせない投資だと考えています。
クラウド利用とデータの越境移転リスク
医療DXで多用されるクラウドサービスの中には、サーバーが海外に置かれているものもあります。2023年に改正・施行された個人情報保護法では、外国にある第三者への個人データ提供に関する規制が強化されており、医療機関がクラウドサービスを選定する際には、データの保存場所・セキュリティ認証(ISO 27001等)・契約上の責任分界点を事前に確認することが不可欠です。特に精神科診療情報については、国内データセンターを使用するサービスを選ぶことが望ましいと考えられています。
導入コストの現実——初期費用・ランニングコスト・人的コストの全体像
電子カルテ導入にかかる費用の実態
医療DXの中核をなす電子カルテの導入費用は、クリニック規模・選択するシステム・ネットワーク環境によって大きく異なりますが、一般的な診療所規模では初期費用として数百万円から1,000万円超の投資が必要になるケースもあります。これにはハードウェア(PC・タブレット・サーバー等)、ソフトウェアライセンス、ネットワーク整備、既存紙カルテのデータ移行作業、スタッフへのトレーニングなどが含まれます。導入後のサポート・保守費用も月額数万円〜十数万円が継続的に発生します。
クラウド型の電子カルテは初期費用を抑えられる傾向がありますが、月額利用料が累積すると長期的には総費用がオンプレミス型を上回る場合もあります。費用体系を正確に比較するためには、5〜10年間の総所有コスト(TCO)の視点で評価することが重要です。
補助金・助成金制度の活用
医療DX推進を後押しするための国・自治体の補助制度はいくつか存在します。厚生労働省のオンライン資格確認導入に関する補助(診療報酬加算を含む)、中小企業・小規模事業者向けのITツール導入補助金(IT導入補助金)、各都道府県が設ける医療提供体制強化の補助事業などが代表的です。北海道においても、道独自の医療機関支援策が設けられることがありますが、採択条件・申請期限・補助率は年度ごとに変わるため、常に最新情報を確認する必要があります。
補助金申請には書類準備の手間がかかり、申請から採択・入金まで時間を要することも念頭に置く必要があります。当法人グループには行政書士きくち事務所も在籍しており、医療法人の許認可・補助金申請といった行政手続きのサポートを提供していますが、こうした専門的なサポートを活用することで、現場医師の負担を軽減しながら補助制度を有効活用できると考えています。
見えにくい「人的コスト」を軽視してはいけない
導入費用の試算でしばしば過小評価されるのが、人的コストです。新しいシステムへの移行期間中は業務効率が一時的に低下し、スタッフの残業が増えることがあります。また、システムの操作習得に個人差があるため、トレーニングに要する時間と費用も相当なものになります。さらに、システムトラブル発生時の対応窓口となるシステム管理担当者を院内に置く場合、その工数も無視できません。DX推進の費用対効果を正確に評価するには、こうした隠れたコストも含めた包括的な視点が欠かせません。
導入後に待ち受ける運用の課題——システム定着と職員教育
「導入したものの使われていない」という現実
電子カルテやオンライン診療システムを導入したものの、スタッフが使いこなせずに紙との併用が続いたり、機能の一部しか活用されていないという状況は、医療現場では珍しくありません。システムの技術的な完成度が高くても、現場のワークフローに合っていなければ定着しません。導入前の段階で、現場のスタッフが実際の業務フローを確認しながら要件を整理し、ベンダーに伝えることが重要です。
特にベテランスタッフへの配慮も必要です。長年の経験で培った紙カルテでのワークフローを変えることへの心理的抵抗は自然なことであり、「なぜDXが必要なのか」という目的から丁寧に説明し、変化に伴うメリットを実感してもらうプロセスを設けることが定着の鍵となります。
継続的なセキュリティ教育の重要性
サイバー攻撃の多くは、フィッシングメールへの誤クリックや弱いパスワードの使い回しなど、人間の行動の隙を突いたものです。技術的な対策だけでは防ぎきれないこうした「ヒューマンエラー」を減らすためには、定期的なセキュリティ教育と訓練が不可欠です。厚生労働省のガイドラインでも、職員への教育・研修を年1回以上実施することが推奨されています。
当法人では、グループ全施設のスタッフに対してセキュリティインシデント対応訓練(模擬フィッシングメール送信など)を実施し、被害を未然に防ぐ意識の醸成に取り組んでいます。「難しいことを覚えるのではなく、おかしいと思ったら確認する習慣をつける」というシンプルなメッセージを繰り返し伝えることが、現場での定着につながると感じています。
ベンダー依存リスクとシステムの可搬性
医療情報システムは一度導入すると、データ移行の困難さから同一ベンダーへの依存が長期化しやすい傾向があります(いわゆる「ベンダーロックイン」)。ベンダーの経営悪化・サービス終了・サポート打ち切りがあった場合のリスクを考えると、導入時の契約において、データのエクスポート形式・移行支援の内容・サービス終了時の対応を明文化しておくことが重要です。国際標準規格であるHL7 FHIRへの対応を謳うシステムを選ぶことも、将来的なシステム間連携・移行の柔軟性を高める観点から有効と考えられています。
北海道・地方医療におけるDXの特有課題——地理的条件と人材不足
広域分散型の医療ネットワーク構築の難しさ
北海道は日本の約22%の面積を占める広大な地域であり、医療機関が広範囲に点在しています。オンライン診療は移動時間・交通費の節約という点で患者さんにとって大きなメリットをもたらしますが、インターネット回線の品質が不安定な地域では安定した映像通話が困難なケースがあります。また、スマートフォンやタブレットの操作が難しい高齢者患者さんへのサポート体制をどう構築するかという問題も残ります。
当法人が取り組む訪問診療と在宅医療の現場でも、ICTを活用したバイタルサインの遠隔モニタリングは患者さんの状態変化を早期に把握するために有効ですが、山間部・農村部では通信環境の整備が前提条件となります。北海道における5Gインフラの整備状況を注視しながら、段階的に活用範囲を広げていくことが現実的なアプローチです。
IT人材の絶対的不足
医療機関のDXを内部から推進するCIO(最高情報責任者)やIT専門職の確保は、大規模病院でも容易ではありません。まして地域の中小クリニックにとって、専任のIT担当者を採用することは人件費の面でも人材確保の面でも非常に困難です。こうした状況を踏まえ、地域ぐるみでITサポートリソースを共有する「地域医療情報ネットワーク」の活用や、地元のIT企業・医療系コンサルタントとのパートナーシップが現実的な解決策の一つとして挙げられます。
北海道内でも、北海道大学病院を中心とした医療情報ネットワークの構築に向けた取り組みが進んでいますが、実際の普及には地道な調整と予算の確保が必要です。当法人としても、地域の関係機関と連携しながらこうした取り組みに積極的に関与していきたいと考えています。
精神科DXの特有の難しさ
当法人のグループ会社であるMedi Face(精神科DX事業)や北海道オンラインクリニックの取り組みを通じて実感しているのは、精神科領域のDX推進には他科とは異なる繊細さが求められるということです。精神科では、診察室の外から見られることへの恐怖感・スティグマ(偏見)を持つ患者さんが少なくありません。オンライン診療の環境設定(プライバシーが保たれる場所で受診できているか)や、システム上での病名・処方薬の表示に対する配慮が必要です。デジタル化の利便性と患者さんの心理的安全性を両立させる設計が、精神科DXの核心的な課題です。
医療DX成功事例から学ぶ——課題を乗り越えるための実践的アプローチ
段階的導入で現場の負担を分散する
DXをいっきに全面展開しようとすると、現場の混乱・コストの集中・リスクの高まりを招きます。成功している医療機関の多くは、「まずオンライン資格確認から」「次にオンライン診療」「その後に電子カルテ全面移行」というように、段階を踏んで導入を進めています。各ステップで課題を検証し、改善してから次のステップに進む「アジャイル型」のアプローチが医療DXには適していると考えられています。
英国国民保健サービス(NHS)が推進したデジタル化プログラムの研究では、段階的導入と現場スタッフの主体的関与が導入成功の主要因であることが報告されており(BMJ 2019)、このエビデンスは日本の医療機関にも参考になります。
外部専門家との連携で内部リソース不足を補う
医療機関単独でDX推進のすべてを担おうとせず、セキュリティ専門企業・医療ITコンサルタント・行政書士・社会保険労務士などの外部専門家を適切に活用することが重要です。当法人グループでは、医療法務は行政書士きくち事務所、産業保健はZ産業医事務所、精神科DXはMedi Faceと、機能別に専門性を持ったチームを構築することで、各領域の課題に深く対応できる体制を整えています。こうした「複合体」としての強みを活かすことが、DX推進においても有効だと実感しています。
患者中心のデザイン思考でシステムを設計する
DXの目的はあくまでも患者さんへのサービス向上と医療の質の改善です。「技術のための技術」に陥らないよう、実際の患者さんの声・不満・要望をシステム設計の出発点に置くことが大切です。高齢の患者さんが多い北海道の地域医療では、スマートフォンを使い慣れない方でも直感的に操作できるUIデザイン、電話での予約・相談窓口の併設など、デジタルと非デジタルを組み合わせたハイブリッドなサービス提供が「誰一人取り残さないDX」を実現する上で不可欠です。
参考:厚生労働省「医療DX令和ビジョン2030」(2022年)、同「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」(2023年)、個人情報保護委員会「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(2022年改訂)、IPA「情報セキュリティ10大脅威2024」
医療法人鳳應会からの提案——地域とともに歩む医療DXへ
医療DXは、正しく進めれば患者さんと医療者双方の生活と仕事の質を大きく改善できる力を持っています。しかしその道のりには、セキュリティ・プライバシー・コストという三つの高い壁が立ちはだかっています。これらを前に「うちにはまだ早い」「リスクが怖い」と立ち止まってしまう医療機関が多いことも、私には理解できます。
一方で、私が理事長を務める医療法人鳳應会では、Medi Faceによる精神科DXの推進、北海道オンラインクリニックによるオンライン診療の展開、そして訪問診療へのICT活用など、実際にデジタル技術を医療現場に組み込む経験を積み重ねてきました。その過程で学んだのは、DXは「完璧な準備が整ってから始めるもの」ではなく、「小さく始めて、課題から学びながら育てていくもの」だということです。
セキュリティ対策については、まず既存のシステムのリスクアセスメントを行い、優先度の高い対策から順に実施することをお勧めします。プライバシー保護については、患者さんへの丁寧な説明と同意取得プロセスを標準化することが信頼構築の基盤となります。コストについては、国・自治体の補助制度を積極的に活用しつつ、長期的な視点でTCOを計算することが重要です。
医療法人鳳應会は、札幌・小樽を拠点に、精神科・在宅医療・産業保健・オンライン診療・医療法務など多様な医療サービスを提供しながら、地域医療のDX推進を実践しています。他の医療機関・クリニックの先生方、あるいは「もっと便利にかかりつけ医と連携したい」とお考えの患者さん・ご家族の皆様も、ぜひ当法人へご相談ください。地域の医療をともに守り、発展させていくパートナーとして、誠実に向き合ってまいります。
医療法人鳳應会では、オンライン診療(北海道オンラインクリニック)・精神科DX(Medi Face)・産業保健(Z産業医事務所)・医療法務(行政書士きくち事務所)を通じて、医療機関・企業・個人のさまざまな医療・健康に関するニーズにお応えしています。お問い合わせはお気軽にどうぞ。
よくある質問
Q. 小規模クリニックでも医療DXを始めることはできますか?
A. はい、可能です。大規模なシステム導入が難しい場合でも、まずオンライン資格確認の導入(診療報酬上の支援措置あり)や、クラウド型の予約管理システムの活用など、比較的低コストで始められる取り組みがあります。重要なのは「全部いっきにやろうとしない」こと。現場の課題に合わせて優先順位をつけ、段階的に進めることをお勧めします。専門家への相談窓口を活用することも、スムーズな導入に役立ちます。
Q. 電子カルテの情報がハッキングされた場合、医療機関はどのような責任を負いますか?
A. 個人情報保護法に基づき、医療機関は患者の個人情報を適切に管理する義務を負っています。セキュリティ対策を講じずに情報漏洩が発生した場合、個人情報保護委員会からの勧告・命令の対象となる可能性があります。また、患者さんからの損害賠償請求を受けるリスクも考えられます。厚生労働省のガイドラインに沿ったセキュリティ対策の実施と、インシデント発生時の速やかな報告・対応が求められます。
Q. オンライン診療は精神科でも受けられますか?
A. 条件によっては可能です。厚生労働省の指針では、初診からのオンライン診療は一定の要件を満たす場合に認められており、精神科も対象となっています。当法人の北海道オンラインクリニックでも精神科のオンライン診療を提供しています。ただし、状態が安定していない患者さんや、対面での詳細な診察が必要と医師が判断したケースでは、対面診療が優先される場合があります。詳細はお気軽にご相談ください。
Q. 医療DXに活用できる補助金はどこで調べればよいですか?
A. 厚生労働省・経済産業省・中小企業庁の公式ウェブサイト、および各都道府県の医療政策担当部署が最新情報を公表しています。IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)やオンライン資格確認導入補助など複数の制度があり、それぞれ対象要件・補助率・申請期限が異なります。申請書類の準備や手続きにお困りの場合は、当法人グループの行政書士きくち事務所へのご相談もご検討ください。
Q. 患者として、自分の医療情報がどのように管理されているか確認する方法はありますか?
A. 個人情報保護法に基づき、患者さんはご自身の医療情報の開示を医療機関に求める権利があります(保有個人データの開示請求)。また、マイナポータルを通じて、医療機関・薬局での薬剤情報や健診結果などの閲覧が可能になっています。かかりつけ医に「自分の情報はどのように管理されていますか」と質問することも、患者さんの正当な権利です。医療機関は丁寧に説明する義務があります。
まとめ
- 医療DXの推進にはセキュリティリスク・プライバシー保護・導入コストという三つの主要課題があり、いずれも適切な対策と計画なしには進められません。
- ランサムウェア等のサイバー攻撃から医療情報を守るためには、厚生労働省ガイドラインに基づくリスクアセスメント、多要素認証・アクセス制御の徹底、定期的な職員教育が重要です。
- 患者の要配慮個人情報保護については、インフォームドコンセントのデジタル化、クラウド選定時のデータ保存場所の確認、情報利用の透明性確保が求められます。
- 導入コストは初期費用だけでなく、ランニングコスト・人的コスト・教育コストを含めた総所有コスト(TCO)で評価することが重要であり、国・自治体の補助制度の活用も有効です。
- 北海道・地方医療における特有課題(広域分散・IT人材不足・高齢患者比率の高さ)を踏まえ、デジタルと非デジタルを組み合わせたハイブリッドなサービス設計が「誰一人取り残さないDX」の鍵となります。
- 医療法人鳳應会では、精神科DX・オンライン診療・産業保健・医療法務など多領域で実践的なDX推進に取り組んでいます。医療機関のDX推進・患者さんのオンライン診療利用についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。
医療DXは、患者さんと医療者が「共に、安全に、より良い医療」を実現するための手段です。課題を正直に見つめ、一つひとつ丁寧に解決していく姿勢こそが、地域に根ざした医療機関に求められる真のDX推進の在り方だと、私は信じています。北海道・札幌の地域医療を守り続けることを使命とする医療法人鳳應会として、これからもともに歩んでまいります。